公演が終わり日常へ

 しかしこの日記は「稽古場より」と題しているのだが、公演が終わった今、どういう題をつければいいのだろうか?
 というよりも、公演が終わってしまったら俺の日記の存在意義はどこにあるのだろうか?

 考えていてもしようがないので、ダラダラ続けることにする。
 まず、9時から6時まで仕事だ。決められた時間に仕事をするなんて、しかも仕事の後には自由な時間が待っているなんて、久しく味わってなかった。
 昨日の川田?健介戦は感動したし、感動を追体験するために東スポを買ってしまったよ。
 これも幸せの一つだ。
 「東スポと気さくに付き合える生活」
 実にいい。

 ところがそんな俺のささやかな幸せを揺るがす広告が目に入った。Flashの見出しに「佐藤藍子」と「篠山紀信」と「遂に!」と「裸身」の文字が!
 俺は池袋で絶叫した。

 だって、四年前くらいの髪が短い時の彼女のファンだったのだもの。
 彼女が映っているという理由だけで「スーパージョッキー」を録画したのだもの。
 「よしよし、正しく女優の道を歩めよ」などと仙人のような目で見守っていたというのに。
 脱いだのか? 本当に脱いだのか?
 西葛西で降りすぐにコンビニに走った。もし万が一の場合には買い占めも辞さない覚悟で。

 ページをめくると、なんてことはない、セミヌード未満のセクシーショットだった。
 ちぇっ。

 ちぇっ?
 バカバカ、俺のバカ。こういう時には手を合わせて、「ありがとう、紀信」

 仕事帰りで2000キロカロリーも消耗する激情があったせいで妙に腹が減る夜だ。
 今もドーナツを食っている。ドーナツだぞ? 「バカに食わせたいおやつ3年連続1位」のドーナツだぞ?
 これはやはり紀信のせいだ。

 夜、役者のチケット売上の計算が終了した。いくらになるか一人一人に電話する。マミちゃんと健ちゃんは留守だった。

 そういえばオギノ式は夕方電話をくれた。
 「ドカさんですか」
 「そうだけど」
 「公演が終わったから、もう俺のことをオギノ式と呼ばないで下さい」
 「じゃあ何て呼べばいいの?」
 「KOH(コー)と呼んで下さい」
 「おいおい、文字では英字も伝えられるけど、口じゃ無理だよ」
 「頭に、Hey! をつければ楽勝です」
 「楽勝か…わかった。練習してみるよ」

 一人で、「Hey!」を連発する秋の夜。