ねじまき鳥クロニクルは怖い

 ここのところ眠れない夜が続いている。
 公演の副作用と言うべきだろうか。
 拒食症と同じで、体が睡眠を拒否するようになってしまったのかもしれない。
 怖い話だ。

 怖い話といえば、岐阜の町営住宅の幽霊騒ぎだ。
 まるで「アンビリーバボー」の世界だ。

 「アンビリーバボー」なんて普段は見ないのに、なぜか気になってしまい、今日見てしまった。
 水の話をやっていた。
 水は「クラスタ構造」であり、音の波動を記憶することが出来るというところまでは良かったが、紙に「マザー・テレサ」と「アドルフ・ヒットラー」の文字を書いて水を入れたビンにそれぞれ張ると、「マザー・テレサ」の水を凍らせて出来る結晶はきれいな形になり、「ヒットラー」の水を凍らせて出来る結晶は奇怪な形になるというのを見て、気分が悪くなった。
 怖い話だ。
 俺の名前を書いて実験したらどんな形になるのだろう?

 怖い話ではないが、仕事後本屋に寄り、村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」の文庫本を買った。
 5年前にハードカバーで全3冊、全て読んでいたが、去年古本屋に売ってしまっていたのだ。
 売値は3冊150円くらいだったか?
 そりゃないぜの値段だったのを覚えている。
 とにかく、秋になると村上春樹が読みたくなる。それで読みなおしたくなり、買ったというわけだ。

 この本もなぜか凄く怖い。
 ていうか、村上春樹のイメージは、実はかなり怖い。
 「羊をめぐる冒険」のいるかホテルとか、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の『やみくろ』とか、まるで人間の心の暗部を悪夢で表現したみたいだ。
 「ねじまき鳥」も、ノモンハンの金属バットの下りとかが、凄く怖い。
 しかしなぜか惹きつけられる。
 それは「怖いもの見たさ」とはちょっと違う気がする。
 むしろ『闇』に魅せられていると言った感じだ。

 そういえば「読書の秋」なんて言葉もあったっけ。
 昨日は食い物のことばかり考え、今日は本のことなど考えている。
 そして恐らく日本シリーズが始まれば、スポーツのことを考えずにいられないのだろう。
 秋はこうやって、俺の心の外堀を埋めていく。