決算報告の夜

 昨日早く寝たおかげで気分が幾分か良くなっていた。
 それでも油断は出来ない。晩秋に向かうときの風邪はなかなかしつこいのだ。
 夕方まで「ねじまき鳥」を読む。

 夕方、新宿でマグネシウムリボンの決算報告。とはいえ、コピーした紙を皆に渡し、簡単な説明をして終わるというもの。
 欠席者は2名。仕事で甲府に行ったオギノ式と、風邪をひいた竹内君。

 横岳はゴホゴホ咳をしていた。こいつも風邪か?

 決算後、飲む。どっかのビルの八階。店の名は忘れた。
 エレベーターが展望式で、外の景色が見られるやつだった。
 横岳は咳をするのも忘れ、「わあ、わあ」と魅入っていた。
 どうやらそういうエレベーターに乗ったのは生まれて初めてらしい。
 というより、生まれてこのかたそういうエレベーターがあるなんてことは夢にも思わなかったらしい。
 むしろ、そんなものが現実にあるなんて、驚天動地以外の何物でもなかったらしい。

 飲みの席で丸ちゃんと前回公演について硬質な会話をする。
 途中で片桐が登場。髪を短く切って、まるでロッキー4のソ連ボクサーみたいだった。

 11時、このまま帰るのもなんだからというので、吉祥寺の志乃ちゃんの家に乱入し、乱痴気騒ぎの続きを行う。

 マミちゃんは明日は芝居の本番なのに我々と行動を共にした。彼女の中学時代の話を聞き、大いに感銘を受ける。
 飲が進むうちにゲーム大会になる。プロレスにはじまり、三国無双をやり、サッカーまでやった。
 さすがに持ち主だけあって、志乃ちゃんのスペインは強かった。

 志乃ちゃんの部屋の壁には写真が100枚以上張られていて、色々な志乃ちゃんがそこにはいた。
 知り合いの写真は、どうしてこうも面白いのだろう。変な意味じゃなく。

 ところで松本健はついにパソコンを買ったらしい。
 おろおろする姿が目に浮かぶ。どういう嘘を教えてやろうか、今から楽しみである。
 「塚ちゃん、画面が固まっちゃったんだけど?」
 「そういうときはね、本体に熱湯をかけるといいよ」
 いくらなんでもこれじゃバレるな。

 気がつけば朝の6時だった。
 志乃ちゃんに暇を告げた。
 横岳は咳をしながら寝ており、その横ではマミちゃんが寝ていた。
 二人ともそっぽを向いていた。
 不仲?

 外に出ると急に寒気を覚えた。もう10月も後半だし、当たり前かもしれない。
 始発の青梅行きに乗り、武蔵小金井に向かう。
 そして青梅についた。
 青梅?

 寝過ごしたらしい。こういうのは一番へこむ。
 結局家に帰ったのは8時。
 ひどく寒かったので、厚着をして寝た。