マラソンコース

 稽古場をめぐるいいマラソンコースがまだ決まっていない。
 今回はカタギノマタギの時とは違って実際の稽古開始がおおむね6時40分くらいなので、十分なマラソンの時間がとれない。
 せいぜい20分で5キロ走るのが精一杯だろう。
 当然肉体訓練の時間も乏しい。発声練習の時間も。

 とりあえず、稽古場のある青梅街道から十二社通りを走り、方南通りから山手通りに抜け、中野坂上まで走ってから稽古場に戻るというコースを走ってみた。
 時間的には13分くらいだったろうか。
 手ごろと言えば手ごろ。物足りないと言えば物足りない。
 それから、どのとおりも交通量が多いのが気になる。排気ガスを吸いまくることになってしまい、健康に良くなさそうに思える。

 まあいい。コース問題はおいおい片付けよう。

 稽古はどんどん動きをつけていく段階だ。俺の役も決まった。出版社の社長だ。
 もちろん飯野の台本だから、いわゆるリアルな社長ではなく、「シャチョー」という記号的要素の加味された社長であるが。
 早速色々な芝居を試す。こういう時間が一番楽しい。

 今回の稽古場は雑居ビルの地下1階なのだが、当然リフォームなどされておらず、「あしたのジョー」の1巻でジョーが子供達を連れて立てこもるビルの廃屋を思わせてくれる。
 暖房も満足なものはないから、自分のシーンがない時など体の心から冷える。
 それでも何だか落ち着く空間だ。
 厨房にしてもアトリエにしても、何かを作り出す空間というのはどこか雑然としているものだからか。

 加奈ちゃんに「もういじめるの、やめるよ」と言ったら、悲しそうな顔で「そんな、諦めないで下さい」と言われた。
 仕方がないので「わかった。もう少し頑張ってみる」と答えた。
 しかし、彼女はいじめてほしいのだろうか。