テレビを消す

 昼の1時から稽古だったのだが、実家から地下鉄東西線に乗り、日本橋で降りなければならないところをうっかり通り過ぎ、仕方がないので大手町で丸の内線に乗り換えたが、今度は荻窪行きに乗らなければならないところをうっかり池袋行きに乗ってしまい、御茶ノ水で気がついた。
 スキだらけの昼下がり。中野の稽古場に着いたのは2時近くになってしまった。

 女の子は加奈ちゃんしかいなかったので、慰めようと思い、嫌いな生き物の話をした。
 「わたし、毛虫が苦手なんです」
 「ほう。それじゃあ、例えば暖かそうなコートがあるとしよう」
 「はい」
 「君はそれを早速着てみた」
 「はい」
 「とても暖かい。しかし何か変だ」
 「どこが変なんですか」
 「コートの表面の毛は、びっしりくっついた毛虫だった」
 次の瞬間加奈ちゃんに突き倒された。
 女の子の気持ちって難しい。

 飯野の職場は高校なので、どうもそこから色々なウイルスをもらってきてしまうらしい。
 東さんが風邪をひき、宇原君も風邪気味だ。

 夜、阿部君としのちゃんが稽古に来た。宇原君は風邪のため早退し、中山君はバイトで早退。
 小道具で使うエロ本を阿部君が持ってきたというので早速見せてもらう。
 しかし何のことはない。漫画アクションだった。
 だがページをめくると、全20作品中10作品がエロ系だった。
 おいおい、アクションって伝統のあるオヤジ漫画週刊誌じゃなかったっけ?
 ルパン?世とか、嗚呼花の応援団とか、漫画史に残る作品が連載されていたはずだぞ。
 いいのかアクション?
 エロが丁度半分というのが気に入らないぞ。
 どちらかにしてほしいもんだ。

 今日も実家に帰る。途中コンビニに寄り、チョコレートを物色する。
 途中で我に返る。
 「おっ、俺、なにしてるんだ?」
 チョコレートを探すなんて、きっと疲れているんだ。

 帰宅してからいなり寿司を食う。コーヒーを飲み、風呂に入り、落ち着いたところでテレビをつけると、「ライフ・イズ・ビューティフル」をやっていた。
 日本語吹き替え版だったのですぐに消す。

 実家にいる時は必ずテレビがついているので、イライラすることが多い。
 その昔、景山民夫が言ってた。
 「テレビのスイッチがついていたら、まず消すことを覚えろ」
 BSデジタル放送の現状をみるにつけ、その言葉の正しさを感じる。

 ちなみに小金井の俺の部屋には、テレビはあるがアンテナは繋いでない。
 去年の12月にテレビの位置を変えた時、アンテナのケーブルが届かなくなったのだ。
 もちろん買い足せば簡単なのだが、見ないテレビのためにわざわざケーブルを買うのも馬鹿らしく、そのままにしてある。
 いっそケーブルテレビとかなら、繋げ甲斐があるのだが。