モジャモジャ後輩

 土曜日だというのに朝の7時に起きてきちんと朝飯を食い、日記の更新をした。
 昨日夜更かしをせずあっさりと寝たので体調はいい。
 おまけに天気ときたら色彩だけで判断すれば3月だ。
 もうすぐ花粉が飛んでくるのだなあ。

 春霞に夢うつつな気分で稽古場に向かう。中野南台だ。
 中野青年館という公民館で、カタギノマタギの稽古でも使った稽古場なのだが、惜しいことに今年の三月を持って閉館してしまうらしい。
 もっとも青年館と言いながら青年よりは壮年の方が目立つ公民館だったが。
 こうして演劇人は少しずつ自治体から締め出されていくのだ。

 そういえば我が母校学芸大の演劇学は、佐藤信氏が担当されている。
 学生の演劇活動に深い理解があるとのこと。
 羨ましいったらありゃしない。

 昼の稽古は男だけで行われた。
 しかし今日の部屋は異常に狭く、スペースとしては俺の部屋並ではないだろうか。
 だから当然稽古をしてもいつもの動きは出来ないし、あちこちの危険な出っ張りは上半身の動きをさらに束縛する。
 にもかかわらず体調が良いためか、テンションは高かった。
 自然、合間合間の無駄話もボルテージが高くなる。
 言わば、超無駄話だ。
 駄目じゃん。

 夕方、松本健がやってきた。彼は今回選曲をしているのだ。
 飯野に合うや否や、「飯野の狙いは何なの?」と、もっとも飯野作品とは遠いところから切り込もうとしていた。
 その会話を後に聞きつつ、坂とコンピューターの話をする。
 彼は武蔵小金井のDOS/Vショップでバイトをしていて、ソフトに関してはまるで麻薬の密売人のような挙止動作を見せるのだ。どういう意味かは書くまい。

 コンビニに夕飯を買いに行った帰りに、大場に会った。学芸大劇団漠の1年後輩で、卒業後加藤健一事務所桜組に三年間在籍し、現在はフリーの役者をやっている男だ。
 昨年は「地球ゴージャス」に出演し、かなり大きな役をこなした。俺はマグネシウムの公演のために観に行くどころではなかったのだが。
 「引越しのバイトの帰りなんですよ」
 5月にまたどこかの芝居に出るらしい。
 とにかく、卒業してからも芝居を続けている数少ない同世代の一人である。
 体毛が濃い。
 ビジュアル的には、プリンスを和風にした感じである。

 夜、しのちゃん来る。
 いる人だけで今までのシーンをコツコツと稽古する。
 随分稽古してきたような気がするが、実はまだひと月も経っていないのだった。
 それなのに本番は容赦なく近づいている。
 同時に春と花粉も。

 稽古後、竹内君はこれから成増に行くのだと言っていた。
 中野から成増まで電車で行くのに、JRを使わず営団地下鉄のみで行くとしたら、とんでもなく遠回りになるのに、彼は節約のために、中野富士見町から四谷まで丸の内線を使い、そこから南北線で飯田橋に出て、有楽町線で成増へ行くという、冒険ファンタジーのようなコースを選択した。
 四谷まで一緒だったので、つれづれなるままに世間話をする。

 昨日買ったグインサーガはあっという間に読み終えてしまい、「帝王ビル・ゲイツの誕生」も上巻下巻とも読み終えて、電車の中で読む本がなくなってしまった。
 長くて、面白い本が読みたい。