装置づくり

 昼から装置の手伝いのため、久しぶりに大学に行った。
 臼井さんが手伝いに来ていた。
 ぽかぽかと暖かい日差しの中、のんびりと装置作業が出来ると思っていたら、3時を過ぎたあたりで日は建物の影に隠れ、あっけないほど寒くなった。
 ペンキ塗り作業を終えたのが5時40分。

 小金井の集会所で稽古。松本健が来る。
 いつも狭い稽古場で稽古しているので、集会所のスペースで動き回るのは実に新鮮だった。

 稽古後、久しぶりに国分寺のスタ丼を食う。
 俺の隣に座っていた痩せ型の学生風が、大盛りを頼んでいた。
 「よせばいいのに…」と哀れみながら並を注文。
 しかし、俺が食い終わった時にその学生風はほぼ9割を食い終わっていた。
 「世界にはオラより強い奴らが沢山いるんだな」
 「嬉しいか悟空?」
 「ああ、何だかワクワクしてくるぞ」

 11時に実家に帰る。
 何気なくNTVの「ドキュメント」を観る。
 衝撃を受けた。
 多重人格少女のドキュメンタリーである。
 30人以上の人格を持つ16歳の女の子の話だ。
 番組紹介から抜粋する。

 多重人格のヒロ、彼女は16歳、しかし彼女の中には赤ちゃんの人格から、男の人格まで現在37人が潜んでいる。突然彼女の中で人格の交代が起こる。多重人格の多くは、幼い頃の虐待が原因とされる。彼女の最大の理解者だった妹までもが多重人格に。人間の心の深淵に迫る。

 妹が多重人格になってしまい、母親がポツリともらした。
 「もう、全てをご破算にしてもいいです…」
 地獄である。

 ヒロは幼い頃、父親から執拗に虐待を受けていたという。
 たった一人の人間がここまで他人を損なうことが出来るのを見ると、先ごろの成人式の騒ぎなど全て平和裏の茶番だと言いたくなる。
 人の心には闇があるといわれる。
 闇には、それ自体に闇を伝えようとする意志があるのだろうか?

 彼女の中にはその父親の人格まで存在していた。
 父親が現れる時の表情の変化は、映画「リング」の2億倍怖かった。