稽古参加者おれ一人

 昼前に松本健からメールが届いた。
 今日の稽古には来られないとのこと。
 なんたること。俺一人じゃないか。

 いっそのことキャンセルしようかとも思ったが、一人でやりたいこともあったので、南台へ行く。
 しかし、何だか海のゴミ拾いを黙々と続ける、いわくありげの男みたいな気分だ。

 一人芝居っぽいシーンを考えたかったので、色々と実験をする。
 自分の心理描写を完全に口で説明してしまうという設定。

 つまり、
 「こんなこと言ってもいいのかな」
 などという、口に出しても不自然ではない独白から、どんどん逸脱していくというパターン。

 話が飛べば飛ぶほどいいのではないかと思い、10秒に1回のペースで話が飛ぶ男というシーンを、一人黙々と作る。
 ニンニクはにおいが気になるからあまり食べない、という話からいつの間にか、木星の衛星で大気があるのはどの星か、みたいな話に飛び、その後も飛んで飛んで、最後にうまいこと、においさえなければニンニク食べるのに、というところに戻るわけだ。

 ずいぶん前、大学時代の先輩で、篠塚さんという人が、チェーホフの「たばこの害について」を脚色して演じたことがあった。
 自分の右手に別の人格が宿るという設定を加えることで、動きのある、面白い舞台になっていた。
 別に一人芝居を作るわけじゃないが、稽古をしながら、一人芝居というものの「カタチ」を考えるのは難しいなあと思った。
 篠塚さんも苦労したのだろうか。

 帰りに本屋にて、「猪木毒本」購入。
 引退したレスラーなのに、こうした本が出るところは、やはりさすがだ。
 今夜、じっくり読もうと思う。