稽古のテーマは「ベタ」

 午前中、稽古用の台本を適当気分で書く。

 12時に中野坂上で望月と待ち合わせをし、王子小劇場が作る広告に載せるための、マグネシウムリボンのキャッチコピーを渡す。
 望月、一読して、
 「地味だなあ」
 と、一言。
 そうなのだ。マグネシウムリボンを一言で表そうとすると、どうしても地味なフレーズになってしまうのだ。

 チケットとチラシの話を少ししてから、稽古場に向かう。
 途中、100円ショップでこうもり傘を買う。
 何でも100円で買える時代になったことに感慨を覚える。

 弥生町で稽古。
 バイト明けの健ちゃんは、まるで健康を害した人みたいな様子であった。
 朝までバイトの後、稽古に来たわけだ。
 山ちゃんは元気であった。
 智保ちゃんも元気であった。
 俺も元気であった。

 望めぐが稽古参加。
 髪の色が金色になっていた。
 ノルウェー人かと思った。

 「とにかく、私のことを見ていて欲しいの」
 という女の要望に応える男という設定で台本を書いた。
 女の子が3人いたので、色々パターンを変えてやってもらう。
 精神が疲労骨折していた健ちゃんは、出ずっぱりで青息吐息であった。

 3時過ぎに松井さん到着。
 雨の中バイクで登場。
 早速健ちゃんに変わってもらう。
 台本以外の部分で、初っぱなから下ネタ方面にとっかかりを見いだしていたところは、さすがエロ親父一直線と皆をうならせた。

 男が3人そろったので、なし崩し的に男のエチュードをする。
 松井さん、智保ちゃんを相手に、80年代テイスト炸裂の告白シーンを堂々と演じきった。
 智保ちゃんは、
 「ベタだけど、こう言うの好き」
 と、のたまう。
 俺と健ちゃんは顔を見合わせ、
 「でも、あそこまで魂を売ることは出来ねえよ。そういう意味で松井さんはすごいよ」
 と、妙な負け犬気分に浸る。

 黒板にでかでかと、
 「ベタ」
 と言う文字を書いて臨んだ本日の稽古だったが、5時に時間切れっぽく終了する。
 あわただしく後かたづけをし、稽古場を出たが、黒板の文字を消したかどうかが気になる。
 消した覚えがないのだ。

 智保ちゃんと望めぐと3人で軽く飯を食う。
 智保ちゃんは7時前に帰り、その後、望めぐと死ぬほど話す。
 最近バカ話をすることが少なく、たまにこういうことがあると、喉の粘膜も裂けよとばかりに喋りまくってしまう。
 声はすっかり枯れ、頭は朦朧としてしまった。

 今日は後輩の新歓公演を見に行く予定だったのだが、雨のため中止になったらしい。
 テント芝居なので、致し方あるまい。
 明日、行こうとは思うが、終わる時間を考えると、どうなるかわからない。