100円ショップ強盗

 “破戒僧”飯野の出演が決まり、なおかつ先日稽古場見学に来た“花王石鹸”家城君の出演も決まった。
 飯野は「暮れなずめ街」以来、およそ1年と9ヶ月ぶりの出演だ。
 家城君は、U?25の砦を、たった一人でキープすることになる。
 お兄さん達が、おもちゃにしてあげます。

 雨降る夜に台本を書く。
 饒舌体とでも言うべきか、やたら台詞が多い台本だ。
 今のところ、ギョーザの話はあまり出てこない。
 そういう説明部分は、冒頭に持ってきてテンポ良く軽快に見せるか、あるいはラスト近くに持ってきて謎解きのごとく重厚な処理を加えるかのどちらかだろう。
 小出しにしていくというパターンもあるが、ものが餃子だけに、間がもちにくく、途中で手札が切れてしまうということもありうる。
 やはり、ラスト近くに持っていくパターンだろうか。
 ただ、問題なのは「謎解き」だ。
 別に謎なんかなくてもいいのだが、テンションだけは謎解きと同じでなければいけない。
 まあ、いい。
 そこら辺の処理は、ラストシーンを書く段になってから決めればいい。

 各登場人物のキャラクターを書きこむ。
 本日の書き足して、全体の何%になるかは、不明。
 珍しく、ゴールが見えない。

 息抜きのため、行き付けの99円ショップに行く。
 99円ショップは、消費税をちゃっかり取るので、税込み100円ショップに比べると、むしろ高い。
 でも、ボクは99円ショップが大好きだ。
 「99円ショップ」と声に出してみた時の字余り感。
 5つパックで買うのに比べるとむしろ高いインスタントラーメン。
 やたら種類が多い調味料類。
 寒天が妙に多いみつ豆の缶詰。
 中途半端な大きさのプラスチックケース。
 子供だましとしか言いようのないピストルのおもちゃ。
 100円ショップ界のスーパースター布団圧縮袋。
 それらのものを手に取ったり眺めたりしていると、梶井基次郎ではないが、丸善を冷やかしに来ているような気になる。
 しかし、爆弾に見立てようにも、レモンは売っておらず、えせリッチな気分は水をさされる。

 妄想は無料だ。
 100円ショップに強盗が入り、有り金全部よこせと言う。
 店員はおとなしく、犯人が用意した袋に有り金を詰める。
 およそ50万円。
 全部100円玉。

 重くて逃げられない、というオチなんか大嫌いだ。
 ここは、美しくいきたいね。
 強盗もので最も感銘を受けた映画「現金に体を張れ」にあやかろうか。
 犯人は100円玉が5000枚入った袋を背負い、高飛びするべくヘリポートへ。
 しかし、ヘリが空に舞い上がってから、仲間が裏切る。
 機内での格闘。
 素手とナイフ。
 600メートル下は海。
 ところが、空を切り裂くはずだったナイフが、100円玉を入れた袋の口を引き裂いた。
 お正月の音を立てながら、5000枚の100円玉が海に舞い落ちる。

 ここで終わるのもいいが、それではキューブリックの焼き直しだ。
 さらに続けるとどうなるのだろう?

 1枚また1枚と海に降り注いだ100円玉は、腹を空かせたニシンの群れに遭遇。
 海の世界は弱肉強食。
 100円玉は1枚残らず、ニシンの腹の中におさまる。
 そこへ、今度は貪欲なるカツオの群れが。
 盛者必衰、生者必滅。
 哀れニシンはことごとく、カツオの滋養と成り果てぬ。

 そこへまたまた、マグロの群れが。
 まさに、塞翁が馬。
 かおりちゃんへの淡い思いや、中島との楽しい思い出は、あっという間に海の藻屑。
 そんなこんなで、海の世界ではまことに正しき食物連鎖が維持されていた。

 やがて時は流れ、季節は秋。
 日本のとある漁村で、弱ったホオジロザメが打ち上げられる。
 とても助かりそうにない。
 水産大学の研究室が引き取り、解剖が始まる。
 胃袋の切除をして驚く教授。
 そこにはなんと、1万円札が50枚も。

 こんなところか。