聞いたこともない栄養ドリンク

 昼の3時に茅場町での所用を終え、突然夕食までの空白ができた。
 オフィス街は初夏の日差しが照り返し、道往くサラリーマンやOLを、チーズフォンデュにしていた。

 小六の時、将来の夢はカメラマンになることだった俺としては、ここでチーズフォンデュになるわけにはいかなかったので、ドラッグストアに飛び込み、聞いたこともないメーカーの聞いたこともない栄養ドリンクを買った。
 聞いたことはないが、効いたことがないのはちょっと困るなと思ったが、効いた。
 効いてる俺と、効いてない人々。
 差別の原始的風景が突如として現れる。

 さて、夕方の5時半に小金井に帰り、カレーライスを食った。
 一気に食ったら眠くなった。
 横になる私。

 そのまま横になり続けることができたら、ある意味で幸せの天城越え。
 越すに越せない隅田川。

 漠の後輩の黒川さんは、俺のことをこう言ってくれたらしい。
 「ドカさんて、変なことを言う時、少年の目をするよね」
 この言葉を、墓場まで持っていくつもりである。

 スランプ状態を脱すると、軽い躁状態に入ることはいつものことだ。
 こんな時は無駄な言葉が後から後から沸いてくる。

 今日あった面白いこと。
 中野のキオスクで東スポを買ったら、俺の後ろに男子高校生らしき一団が近づいてきた。
 全員坊主であった。
 中心の一人がいきなり、キオスクのおばちゃんに、
 「こんにちは!」
 と、挨拶した。
 おばちゃんは、相手の顔を認めると、にっこり微笑んだ。
 挨拶した高校生が、周りにいる友人に得意げに説明した。
 「俺、常連だもん。(お菓子を指して)全部食ったからね」
 「おおー」
 「すげー」
 「やるじゃん」
 いやあ、若い者も捨てたもんじゃねえやな。