PHS止まる

 珍しく一日休みである。
 土曜日に休みだなんて、しかも、公演2週間前にだなんて、大人の贅沢。

 役者諸氏は、DMを書いたり、たまった疲れを取り除いたりなど、それぞれ有意義なる時間の過ごし方を満喫していることであろう。
 わたくしは、台本のラストをじっとりと考えていた。

 ラストシーンは、いつものことだが、書くのに苦労する。
 終わりのようで終わりでなく、続くようで続かない、でも確実にある種の終わりになっている、そんな微妙な線を狙うからだろう。
 しかも、狙いがうまくいくとは限らず、必要以上に終わってしまったり、あるいは、終わりに出来なかった部分が公演終了後に自分の中でうねうねと這い回ったりすることの方が多い。

 そんなわけで、終わりにも色々な心構えがあるのだが、一つだけあげるとしたら、次のようになるだろう。

 終わりと思うな。脱出と思え。

 どこから脱出するのかというと、それこそ色々なふうにとれるわけで、例えば、虚構から現実への脱出という解釈もあろうし、お客さんから逃げる、というニュアンスを持たせることもできよう。

 脱出にかかる負荷は、当然大きいので、推進力としての音響や照明、舞台の仕掛けや、その他色々を使うわけだな。
 たまに、脱出に失敗すると、目も当てられないことになる。
 芝居の世界にも残れず、現実世界にも戻れない、放浪者の苦しみが待ち受けている。

 台本、5ページほど書く。
 残りはおよそ、20ページくらいだろうか?

 PHSが止められてしまった。
 ガス、電話、電気、PHSと、この1週間順番に止められた。
 公演直前の常である。