唐十郎さんのエピソード

 夕方、仕事を終えてから、高田馬場に向かう。
 劇団桟敷童子の11月公演に出演することになり、演出の伊原さんから台本を受け取ることになっていたのだ。

 高田馬場BIG BOXにて待ち合わせ。
 桟敷童子の芝居で何度も観てはいるものの、じかに話すのはこれが初めて。
 とりあえず和民で飲みながら、簡単な説明等を聞き、台本を受け取る。

 唐組時代の話をたっぷりと聞く。
 唐十郎さんは釣りが好きで、よく神津島へ釣りに出かけたのだそうな。
 ある時、他の役者陣が色々な魚を吊り上げるのを尻目に、唐さんはクサフグしか釣れなかった。
 釣った魚を料理して、宴会をしている最中、唐さんは突然言い出した。
 「おい。フグは、どうした?」
 板前経験のある役者は、あれは食えませんからと、言葉を濁す。
 唐さんは、
 「おい。おまえら、どうして俺の釣った魚が食えないんだ? この集団で、イニシアチブをとっているのは、いったい誰だ?」
 などと怒り出し、挙句の果てに、
 「いいからそのフグを塩焼きにしてしまえ!」
 という始末。

 仕方なく塩焼きにしたフグを、唐さんはわざわざ肝のところを箸でつかみ、止める役者の手を振り払いながら、もぐもぐ食い始めた。
 「おまえらも食え!」
 もう、そうなったら、食わないわけにはいかないのである。

 他にも色々面白い話を聞く。
 面白すぎて、あっという間に10時を過ぎた。

 11時に実家へ。
 ADSLのモデムが届いていたので、説明書を読む。