臨床バイト

 最近昼になると、友人の清水から必ずメールが届く。
 「今日のほっけは生だった」
 「八宝菜なのに七種類しか野菜がなかった」
 等々。

 確かに単調な仕事が毎日続くと、楽しみは食事だけといった状態に陥りがちだ。
 なんだか、入院しているみたいだ。

 思い出した。
 そういえば昔、ちょっと危ないバイトをしたことがあるのだ。
 薬の試験バイトで、発売前の薬を服用し、血液検査をしたり脳波を測ったりして、お金をもらう。
 つまりは人体実験だ。

 俺がやったのは2泊3日のコースで、初日に注射をうち、以後定期的に採血するというもの。
 寝てればいいので楽は楽だが、とにかく一日が長い。
 持っていった本はすぐに読み終わってしまい、やることがなくて本当に困った。
 3日目の朝に全ての採血は終わったのだが、病院を出た時の気分の爽快だったこと。
 たとえて言うなら、まるで、退院したみたいだった。
 あの時が、人生の底値だったと思うが、どうだろう?
 塞翁が馬か?