ヴァージニアスリムのエロ女

 電車に乗っていて最近気になるのだが、ヴァージニアスリムの広告で、二人の女が目をつぶっているやつがある。
 あれ、もの凄くいやらしくねえか?
 特に左の女。
 もしも俺が子持ちなら、間違いなく、「見てはいけませんノボル君!」とか言って、長男のノボル君に目隠しをしているはずだ。

 まあ、タバコの広告は、20歳以上の大人をターゲットにしているわけだから、いいといえばいいんだろうけど。

 今週は台風が来たり、雨が降ったりやんだりしたりで、あまりマラソンができなかった。
 昨日なども走るつもりでいたのに、夕方の新宿は小雨が降り止むことがなかった。

 こういう、ちょっとしたストレスを抱えつつ、デスクワークをするのは、疼く身体との闘いだ。
 眠いとかそういうのではなく、一週間放っておかれた肉体が、オフィスできしみ音をたてる訳だ。
 それは、ある意味で、いやらしい音だ。
 「聞いてはいけませんノボル君!」

 夕方、稽古。
 久しぶりにマラソンが出来た。
 今回、密やかな目標があるのだ。
 それは、稽古期間中に、稽古場がある西新宿から、荻窪まで往復すること。

 とりあえず、先週は中野駅に到達した。
 今日は、環七にチャレンジした。

 ルートは神田川沿い。
 青梅街道を走れば確かに手っ取り早いが、歩道の人いきれや、車道の排ガスを考えると、閑静な住宅地をくねくねと走った方が面白いだろうと結論した。
 というわけで、鮭のごとく川を遡上する。

 環七到達間近で、川沿いの道がなくなってしまった。
 仕方なく引き返すが、トータル50分程走ったので、月曜日の憂鬱や火曜日の陰気など、今週一週間かけて体の中にたまっていた「いけない子達」が汗となって体外に放出され、気分は爽快であった。

 稽古中、アサカ来る。
 「ねえねえ、この前の飲み会のときにさ、おれ、帰りの電車で何かした?」
 「したよ」
 「な、なに?」
 「起こしてやるから座れって言ってるのに、ずっと立ってて、立ちながら自分の顔をバチバチ叩いてた」
 「うわー」
 「それから、結局座ったんだけど、朝一番の電車で空いているというのに、女の人の隣に座って、よっかかっていた」
 「厭だ! そんなのって、厭だ!」

 傷ついた心と、稽古での癒し。

 10時40分に退出。
 外は蒸し暑かった。
 秋はどこで油を売っているのだろう?

 帰りの電車でまた、ヴァージニアスリムの広告を見る。
 今度は逃げずに、対決してみる。
 まあいやらしい。
 「見てはいけませんノボル君!」