頭ゆらゆら

 急に寒くなった。
 筒井康隆の「文学部唯野教授」では、気の狂った助手に背中を斬られた大学教授が、「急に寒くなった」とつぶやいて死ぬシーンがある。
 今日の寒さは誰が背中を斬られたのだろう?
 秋か?

 しかも憂鬱なほど冷たい雨が降っていた。
 やみそうにない類の雨だった。
 雨というのは、やみそうかどうか、大体見てわかることが多いものだ。

 昼休みは公園の芝生でごろごろするのが最近の贅沢だったのに、雨と寒さのためやむなく断念し、コーヒーを飲みながら読書などして過ごす。
 「ベストセラー小説の書き方」読み終わる。
 生粋のアメリカ人らしい本で、困難に立ち向かい、打ち克ち、勝利を手にする方式の、小説作法だった。
 内容はともかく、現代英文学の無視できない作家をたっぷり紹介してくれて、その点だけでも収穫だ。

 夕方、風呂泥棒シーンを稽古。
 原因不明のめまいがする。
 めまいというより、頭がゆらゆらする感じ。
 それがめまいというのかもしれないが、いわゆるめまいらしいめまいとは違うのだ。
 集中力が途切れるわけでもないし、気分が悪いわけでもない。
 ただ、ゆらゆらする。

 帰宅後、雑炊とりんごを食べ、早めに眠る。