「ゼロの焦点」

 昼飯に近所の店でカレーを食う。
 以前よく来た店で、辛くてボリュームのあるカレーを出す。
 大盛を食ったら、なぜか頭皮から汗が沢山出た。

 稽古に行く途中、松本清張の「ゼロの焦点」を読む。
 なぜいまさらこのような古典的推理小説を読んでいるのだろう。
 我ながら疑問に思うが、これまで不思議と松本清張とは縁がなかったので、馴初めとしては妥当な作品ではあるまいか。
 時代背景が古いので、描かれている情景よりも、作品内で自明の事とされている倫理観や価値観にむしろ違和感を覚えたりする。

 夕方7時より稽古。
 本番間近になり、テクニカル面の稽古も多くなる。
 切羽詰っているというわけではないが、ひとりでに無駄口を叩かなくなっている。
 というより、無駄口を叩かないようにしたら、無口な自分になってしまった。
 よほど普段の会話に無駄口が多いということだろう。

 とりあえず、ラスト近くまでの稽古を済ませた。
 帰り道、中野坂上の駅で、電話していた女の子がいきなり泣き声でキレ始めた。
 彼氏が待ち合わせに5分遅れるという電話をくれたらしいのだが、いきなり泣くこたぁねえだろうと思わせるに十分な声量だった。
 あれだけ人前も憚らず泣けるなら、いっそ役者をやってはどうだろう?
 なんなら、次の芝居に出てくれてもよい。
 俺は待ってるぜ。