社会が幻想だとしたら

 5月連休の芝居が終わってから3週間と少しが経った。
 この時間の流れを早いと見なすか遅いと見なすか判断つきかねている。
 今月は何か変だ。

 つまりはこういうことだろう。
 いつもだったら芝居が終わってから3週間あまりは時差ぼけのような状態に陥り、それから徐々に世間との折り合いをつけていくのだ。
 それが今月の場合は、該当する3週間がそのまま次の公演の詰め期間にあたるわけだ。

 そのせいかどうかよくわからないが、いわゆる時間を時間として認識出来なくなってきた。
 具体的にいえば1994年がつい最近のことで、2002年5月が30年ほど前のことに感じている。

 「時間なんてものは人間が社会を運営する上で便宜上作り出した方便だからね」
 「なるほど。つまりは幻想ですか」
 「そうそう」
 「それじゃあ遅刻も幻想ですね」
 「だね。その代わり、遅刻が幻想だということを受け入れる以上、社会も幻想と思わなくてはいけないよ?」
 「どういう意味でしょう?」
 「社会に所属することを放棄しろということだ」
 「?」
 「まず、名前がなくなる」
 「それは困る」
 「でも社会に所属しないなら必要ない」
 「なるほど」
 「それから、お金もいらない」
 「それは困る」
 「でも社会に所属しないなら必要ない」
 「なるほど」
 「日本語もいらないね」
 「いりませんか?」
 「だって社会に属さないならいらないだろう」
 「釈然としないですね。じゃああたしのコミュニケーションはどうなるんでしょう」
 「コミュニケーションは、社会そのもののことだよ?」
 「ワオ。それじゃあ、あたし、すさまじく孤独ですぜ?」
 「孤独という概念すら社会に属する上での相対的なものだから、社会に属さない以上無意味になるぜ」
 ・・・・・

 台本を書いているせいか、それとも落語ばかり聞いているせいか、うっかりすると会話文になってしまうなあ。
 しかも7月公演とは関係のない感じの。

 本当に公演がうてるのだろうか?
 心配になってきた。