追い込み

 この二日間は台本のラストに向けてラストスパートをかけていた。
 心理的な意味でのラストスパート。
 まあ、「追い込む」というやつ。
 「追い込み」ではないところに意味がある。

 初めに事件を考え、その事件に関わる人物を考えていくうちに、いつの間にか自分も関わりのある一人になっていた。
 そのために事件のダークな面の影響を心理面でもろに受け、書きながら深刻な恐怖感に見舞われたりすることもあった。
 だから書くのが憂鬱だったともいえる。

 簡単に言えば自分で自分の怪談話に怖がっていたみたいなもんだ。

 そして、今回は怪談話ではないのだ。

 怪談話じゃないのに怖いということは、本当に怖いと言うことだ。
 そしてそれはもしかすると、俺だけに通用する怖さかもしれない。

 さて、こうして生まれた今回の芝居を、自分以外の人に伝わるようにしなければいけないわけだ。
 もちろん怪談にするつもりはないので、色々な部分を削り矯め直し、元の素材にある臭みをのぞかなくてはいけない。

 注意点は一つ。
 重いテーマと思わずにいく。

 活字で読む限りいくらでも重くなるのを、そのまま重くやることには意味がないような気がする。
 重さをいかにして克服するかという、役者や演出の戦いっぷりも重要なのだと思う。
 もちろん戦いっぷりをメインにすると話がずれてしまうのだが。

 今週中に通し稽古が出来れば一応は予定通り。
 だが、強引に進めている気がしないでもない。