初日、台風来る

 朝7時に起きた。目覚ましをセットした時刻の30分前だった。
 二度寝の誘惑に駆られたが空腹感が勝りコンビニへ行きカップヌードルを買う。
 それからレモン水。

 メールチェックを済ませてから仕事に行く。なんだかいつもと変わらない平日の朝みたいだ。
 12時まで仕事。その後早引けし王子へ。
 劇場入りする前に「千石自慢ラーメン」で大盛りラーメンを食う。
 にんにくを馬鹿みたいに沢山入れてしまったため、食い終わってからお腹が張って仕方がなかった。

 5時まで音響と照明のきっかけ部分を中心とした稽古。
 その後役者が客席づくりをしている間、オペ室で音のレベル調整をする。
 主観と客観のずれということについて考えさせられる。
 昨日は丁度良いと思った大きさの音でも、今日はずいぶんと大きく感じられたり、もしくはその逆だったりするのだ。

 台風が近づいており、深夜には関東地方を直撃するらしかった。
 開場してからしばらく劇場の外に立ってみたが、シャッターを閉める店があったりして、街自体が台風に備えるモードに入っていた。
 大学時代一緒に芝居をしていたミッちゃんが来た。
 「なんでこんなところに立ってるの?」
 「案内のために立ってるんだ」

 5分おしで開演。
 前半は声がうわずっている役者がいたりしたが、中盤あたりから落ち着いた。
 終盤はやや「芝居をしている」感じになっていたので、そのあたりは明日直していかねばなるまい。

 終演後ミッちゃんと話す。
 彼女は数年前、東京ボードビルショーの養成所にいたことがある。なぜか結婚してから入ったのだ。
 そこをやめた後、体がなまって仕方がないので近所のスポーツセンターで泳いでいたところ、プールサイドに仁王立ちした老人が鋭い眼光でにらんでいるのに気づいた。
 プールから上がると老人が近づいて来て言った。
 「君は才能がある。わしにコーチをさせてくれ」
 それが今から3年前だ。

 「今でも泳いでるの?」
 「うん。最近ようやく、泳ぎに「芯」が出来てきてさあ」
 素人には及びもつかない境地に彼女はたどり着きつつあるらしかった。

 前回公演に出演した山本君も見に来た。
 オギノ君と早速じゃれ合っていた。

 DMデザインのモチメも「グループ展」帰りに見に来た。
 髪の色を金髪から10円玉色に変えていた。

 台風が近づいているので初日打ち上げはしないことにした。
 もちろん各自で飲みに行くのはいいが、交通機関やその他が心配だった。
 そういうわけで9時に王子を出て素直に小金井へ帰る。
 雨は順調に勢いを増しつつあった。