金八先生のあのシーン

 風が冷たく強く吹く、とても寒い冬の一日だった。
 夕方、吉祥寺に行った。
 TZONEでビデオ出力端子のついたビデオカードを探そうと思ったのだ。

 ところがTZONEは2月で閉店してしまうらしく、店は1月18日から始まった在庫一掃セールのため、略奪にあったみたいに何もなかった。
 一応ジャンク品などがワゴンに積まれているが、どうでもいいものばかりだった。
 そりゃそうだろう。

 何も買わずに外に出る。
 ATMに入ったら、プロミスのカードが落ちていた。
 女性の名前が書いてあった。
 どうやら忘れ物らしかったので、すぐにプロミスに電話をした。
 北口にある吉祥寺支店にカードを届けた。
 「ありがとうございます。こちら、粗品になりますので」
 500円分のクオカードを貰った。
 「ところで、プロミスのカードはお持ちですか? すぐにお作り致しますけれども」
 「いえいえ、いいです」
 外に出るともう夕方。

 5時半にはうちにいたのだが、ビデオのダビングをしようと思いテレビをつけたら「3年B組金八先生」をやっていた。
 しかも、加藤の出る、パート2だった。
 さらに、偶然にも、加藤が松浦達と一緒に荒谷二中に立てこもり、校長に謝罪させるというあの伝説のシーンをやっていた。
 ドンピシャ。
 もちろん観た。

 再放送でこのシーンを観るのは9年ぶりくらいだが、現場の緊張感がひしひしと伝わってくる。
 やはり、このシリーズの「金八」を超える「金八」は、二度と作れないだろう。
 中島みゆきの「世情」が流れ、生徒達が警官達に次々と護送車に放り込まれ、そのあたりでもう滂沱の涙である。
 あのナンシー関ですらそうだった。
 いいものを見た。