平日注意報

 真夜中に突然不安になって目が覚めた。
 急に、ちゃんと生きてないような気がしたのだ。
 再び眠ろうとしたが、嫌な気分が残り、明け方までまんじりともしなかった。

 そういえば最近妙な夢をよく見る。
 昨日も心臓がドキドキするような夢を見て、夜中に目が覚めた。

 毎日ご飯を作り、それを日記に記録するのは、日常をちゃんと生きるためだ。
 島流しになった漂流者は、身だしなみや体のケアがどうでもよくなっていき、やがてくたばる。
 そうならないために、とにかく記録をつける。
 ロビンソン・クルーソーだってそうしていた。

 このところの平日は、きちんとしたご飯を作っていない。
 たこ焼きを買ったり、インスタント麺で済ませたりしている。
 どうもそれがよくないらしい。

 だが、なぜ出来合いの食事で済ませているのかというと、作るのがめんどくさいからだ。
 島流し理論を適応すれば、生きるのがめんどくさくなったということだ。

 そういえばこの2週間がやたらと早い。
 このままじゃいけない。

 危機感を覚えたものの、一日の過ごし方は変わらない。
 変えたくても変えられないという部分もある。
 焦燥が肉体の中で針の形をして潜み、留まることが罪なのだと訴えるように、皮膚の裏側からその先端部を外に向かって突き出す。
 痛みを感じるたびに、ちゃぶ台をひっくり返したくなる。
 ペンキを壁にぶちまけたくなる。
 ビルの屋上から1階に向かって「ゲームセット!」と叫びたくなる。
 満員電車の中で早口言葉を唱えたくなる。

 夕方、実家へ帰る。
 まずは、しっかりとご飯だ。
 冷凍されたご飯を解凍し、長ネギとベーコンを刻み、チャーハンを作った。
 ご飯はあらかじめ生卵をまぶしておき、油をひいたフライパンは十分に熱しておく。
 一気に作らないと、べちゃっとする。
 食えればそれはうまい、と、4年前には思っていた。
 だけど、たぶんそれだけじゃまずいのだろう。
 だから、悩みや焦りは消えないのだろう。

 スティーヴン・ハンター『極大射程』読み始める。

 朝4時半に寝る。