ハイデガーを知らない

 8時半起き。いきなり蒸し暑い。
 そして眠い。睡魔にとりつかれているようだ。
 暑さと眠さを同時に感じるのは、人生の不幸だ。

 台風が近づき、天気は乱れていた。
 それでも基本的には夕方までは太陽が出ており、蒸し暑い夏を演出していた。
 時々濃い目の雨雲が、片栗粉を溶いた時の『だま』みたいに空に現われたが、雨は降らなかった。

 夜、チンゲンサイとホタテを蒸す。
 ラーメンの丼にホタテとチンゲンサイを入れ、調味料を加えてラップし、水を沸騰させたフライパンに入れて蓋をする。
 ところが、チンゲンサイが丼から盛り上がってしまい、蓋が完全に閉じられなかった。
 熱が加わって盛りが小さくなってやっと蓋を閉じることができた。
 蒸しあがってから、丼の汁を鍋にあけ、片栗粉でとろみをつける。
 皿に盛ったチンゲンサイとホタテにそれをかける。
 蒸すと、チンゲンサイのシャキシャキ感が失われないし、油を使わないのでヘルシーでもある。

 食べ終わった頃から、外は雨が降り始めた。
 かなり強い雨だ。
 窓を閉め、クーラーをつける。
 小一時間ほどうとうとして、台所の洗い物をする。
 食事をしたら、なんだか気が抜けてしまったようだ。

 『哲学者の密室』ようやく900ページに到達する。
 謎解きのシーンへの最後のお膳立てが整ってきた。
 この物語から哲学の議論を除いたら、おそらく半分以下のボリュームになるだろう。
 しかし、小説の魅力も半減する。
 哲学の議論がまるでわからなくても、これが作品の味わいを決めているということはわかる。
 作中登場するハルバッハは、ハイデガーのことらしい。
 つまりハルバッハ哲学とはハイデガー哲学。
 しかしハイデガーなんて、教科書程度の知識すらない。
 読了前に一度、調べられるところは調べた方がいいかもしれない。