緊張弛緩のバランス

 仕込みから初日をなんとか乗り越え、本日は朝から昼過ぎまで仕事人間と化す。
 昨日の飲みで猪口さんから、
 「明日は朝、待ってますよ」
 と冗談交じりな口調で言われたが、さすがに連続早引き記録は更新できなかった。

 5時近くに劇場入り。
 昼の様子を聞くと、入場者数が30名ぎりぎりだったとのこと。
 平日の昼ゆえ、厳しい入りだった。

 夜の回。
 台詞をかんだり、細かいミスがあったりした割に、リラックスして芝居ができている様子だった。
 が、リラックスすればすべてよしということでもなく、前半の終わりにある緊張の種が、後半のクライマックスで解放される作りが、和やかなムードに流されていたような気もした。
 緊張と弛緩のバランスが、まだ確定していない感じといえばいいだろうか。
 終演後、尾池さんと一緒に帰り、ブースから見ての意見などを聞く。

 11時帰宅。
 新しい本を借りたり探したりする暇がなくなり、先週は『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を本棚から出して読んだ。
 なぜか芝居の本番に読むことの多い本だ。
 それも秋に。