書く環境

 2日続けてジョギングができたせいか、それとも単なる時間の経過ゆえか、体調はすっかり良くなった。
 もっとも良くなっていないと走れないのだから、一昨日の時点ですでに良くなってはいたのだろう。
 気温も暖かくなってきた。
 アパートの壁面を覆うツタが、みるみるうちに葉を濃く茂らせている。
 このツタは、窓の隙間から部屋の中に入ってくるのだと、不動産屋のおばちゃんが言っていた。
 だからもし、隙間を3センチほどあけたまま、夏の1週間留守にしたりすると、帰宅してドアを開けたとたん、天空の城のラピュタのムスカみたいになる。
 「一段落したら全て焼き払ってやる」
 ってなもんだ。
 もちろんそんなことはできないので、事前に若い芽を摘む。
 マグの稽古でそんなことしたら大変なので、思う存分に。
 代わりにマグの稽古で
 「全て焼き払ってやる」
 なんて言えたら大したもんだがそれもできない。

 考えてみたら焼き払うことができるのは特権階級の人間だけだ。
 庶民はたき火さえままならぬご時世だ。

 空の透明さから、暖かい日となるだろうと思って薄着をしたが、結構寒い一日だった。
 夕方、荻窪駅から帰る時など寒気がした。

 夜、キムチ鍋を食べる。
 今週は徹底的に野菜ばかり食べていた。
 腹は膨れるが、空腹感が残るという、奇妙な体験もした。
 血糖値がそれほど上がらないためだろう。

 最近おきまりのプロット書きを少しして、キャスティングについてあれこれ考え、人物設定を変える。
 台本そのものはまだ1ページも書いていない。
 ゴールデンウィークが山になるだろう。
 いっそ、ノートパソコンを持ってどこかにピクニックに行き、青空の下で書いてみようか。
 いつもは空気の悪い部屋でいじけながら書いているのだが、環境がさわやかになったら書くものが変わるかもしれない。
 そういえば、書く環境ということについてこれまで考えたことがなかった。
 山手線に乗って延々と書き続けたらどんなものができるのか。
 女子校の近くのマックで一日中書いたらどんなものができるのか。
 部屋にお香を炊いて全裸で書いたらどんなものができるのか。
 スランプになったら、色々試してみよう。