真夏日の稽古は意味もなく燃えて

 ぎらつく太陽を浴びながら、昼の1時に阿佐ヶ谷へ。
 2階にある稽古場は、熱気がこもって野球部の部室みたいな匂いがしていた。
 着替えてストレッチをしてから、久しぶりにアップのためにジョギング。
 環七まで往復。

 鶴マミと綾香シーンを稽古する。
 この二人は今回の芝居の鍵を握っている。
 鍵を握る人物ほど、作者が作品にかけた抽象性を担わねばならないため、役作りを生理だけで済ますことができない。

 つまりは、その人物の来歴とか性格とかを台本の活字頼りに読み解くだけでなく、書かれていないメッセージを演技で浮かび上がらせ、さらには言葉と演技の相互作用で自然とメッセージが浮かび上がるように…

 …ならないといけない。

 しないといけない、ではなく、ならないといけないところが、難しい。
 結局どうすればいいのか、という質問に、こちらもすぐには答えられないのだ。

 たとえば、ある事柄に対して異常なほど二人が固執するシーンがあるとして、表面的には意地の張り合いが延々と続くのだけれど、シーンを見終わった時に見た者の中に、シーンが表現していた者とは直接的に何の関係もないイメージが喚起できるかどうかということだ。

 そのためには、やはり場数を踏まないといけない。
 場数を踏むチャンスが少ない今回の稽古だが、それでもやれるときにはやらないといけないし、つねに稽古場にいなければいけない。
 役のテンションを維持したままで。

 夕方、浜田山に移動。
 10時まで使えると思っていた稽古場が、9時までしか使えないことを知る。
 ガストで食事中のみんなを電話でせっつき、急いで通しの用意をする。
 音響オペをお願いしている坂本さんくる。

 7時過ぎから通し。
 前半ほど面白く、後半ほどつまらない。
 当たり前と言えば当たり前の結果に終わったが、それでも前回半分ずつ通した時に比べると、集中力は上がっている。
 トータル時間も10分縮まった。
 いままで何に使っていたのだろう?

 稽古後、外は雨。
 「飲みに行く?」
 と松本健が声をかけるが、豊田君と玉山さんしか来ず。
 マグ3人と合わせ、5人で小さな居酒屋に入り、芝居の話をしながら飲む。
 昼から手負いの獣みたいに肉体を動かしていたためか、饒舌が止まらなかった。
 芝居の話から、恋愛話もどきへ。
 11時過ぎに店を出る。
 12時帰宅。