外れタクシー

1時より自主練稽古のため目黒へ。
稽古場に着くが、舞監の米野さんしか来ていなかった。
小道具などの搬入を手伝っていると、福代さんや望月君、和田君などが到着。
「迷っちゃいました」とのこと。

昼の間はほぼ一人で地味に自主練するのみだった。
筋トレをし、台詞を覚えるなどして過ごす。

夕方、今日平君が来たので、殺陣を合わせてもらう。
膝と股関節がコキコキいった。

夜、後半部分の稽古。
昼から台詞覚えなどを地味にしていた割に、そのことが集中力を高める結果にはならなかった。
友美ちゃんとの殺陣もうまく出来ず、プチ挫折感を味わう。

10時前に稽古終了。
目黒駅近くの店で飲む。

三上裕子さんの左隣に座る。
三上さんは<お酌センサー>が発達しており、こちらのビール残量がコップ半分を切ると、てきぱきとお酌をしてくれる。
なんだか恐縮してしまい、せめてもの返礼に杯を乾そうとすると、またもやお酌されるのだった。

日頃は稽古後のバイトでなかなか飲みに行けない小林ともゆき君は、フットサルで痛めた足をかばいつつ飲んでいた。いや、飲むのに足は関係ないんだが。
今回参加者中もっとも先輩といえる山下さんは、おれの顔を見て、
「師匠!」
と叫んだ。ちなみに<師匠>とはおれの役名。
蜂須賀さんは、
「塚本さん、(一緒に)飲みに来たのは初めてですね!」
と言ってくれたので、
「今回はよろしくお願いします」
と礼をした。

12時に店を出る。
新宿から総武線の武蔵小金井行きに乗る。
混んでいたため、立っていたのだけど、なんとたったまま西荻窪を寝過ごしてしまった。
はっと気がつくと三鷹駅。
しくじった。
降りても逆方面への電車はすでになく、歩いて帰るには時期的にもちょっとしんどい。
仕方ないのでタクシーを拾う。

このタクシーが、ここ数年で一番の<大外れ>だった。
こちとら疲れているのに、

「五日市街道に出ていいですか?それしか道はないんすけど、いえね、たまに文句言うお客さんいるんですよ、そっち行くなって怒ったりして。じゃあ五日市街道出ますね。もう終電ですか?僕、三鷹駅でいい思いしたことないんですよ。同僚なんかはよく八王子行きのお客さん捕まえたとかいうんだけど、そんなの一切ないですね。やれ東伏見だの深大寺だのそんなのばっか。でもバブルの頃なんか同業者はいい思いしたんでしょうね。僕、昭和36年生まれなんですけど、うちらの世代は損!全然いい思いしてないっすよ。もうけようと思ったらバブル終わってるし。三鷹駅終電逃しねらったら東伏見だし。あ、お客さん、西荻窪の駅ギリギリまで行きます?」

とまあ、喋る喋る。
喋られて、かかった料金が2100円である。
怒る気力もなく、足下を見つめつつ帰宅。
即、就寝。