不意のジャネット・ジャクソン

中公文庫の『世界の歴史』シリーズを読む。
買いそろえようと思ったことはないのに、実家にあるものを含めれば5冊もあることに気づいた。
『3・中世ヨーロッパ』
『4・唐とインド』
『5・西域とイスラム』
『6・宋と元』
『7・近代への序曲』

買った時期はまちまちだ。
最初に買ったのは3巻の『中世ヨーロッパ』で、高校三年の時に受験知識の補填に使った。
4巻の『唐とインド』は、三国志に興味を持った23才頃に買った。
5巻の『西域とイスラム』は、9.11テロ事件の後にイスラムについて調べるために買った。
6巻と7巻は不明。

『2・ギリシアとローマ』は、大学2年の時に電車の中でなくしてしまった。
西洋古代史ゼミにまがりなりにも在籍していたため、基本的な通史を把握するために買ったのだが、なくしてしまっては意味がない。
買い直そうとしなかったのは、面白くなかったからだろう。

西洋の中世史に興味があったのに、入学してみると中世史を専門にしている教授がおらず、西洋古代史をとった。
だが、もとから興味があった時代ではなかったので、面白くなかった。
ゼミも友人に強引に誘われて入ったようなもので、出席するのが苦痛に感じる時もあったが、恩師の熱心さにほだされるような形で結局四年間在籍した。
時々西洋古代史関連の書籍に恩師の名前を発見する。
自宅で手料理をごちそうしてくれたり、留年した時は電話で2時間も話を聞いてくれるなど、大変お世話になった方なので、その名前を見ると背筋がしゃんとなる。

夕方実家へ。
食材がなにもなかったので、冷凍ピラフを温めて食べる。
こたつで母が食べていた焼き芋を少しもらう。
8時頃父親帰宅。
DVDを2枚持っていた。
ひとつは韓国映画の『オールドボーイ』
もう一つがなんと、ジャネット・ジャクソンのライブDVDだった。

「なんでこれ借りたの?」
「マイケルの妹だろう」
「そうだけど、借りる理由になってないよ」
「他になんにもなかったから」
「だからって、なんでオヤジがジャネット・ジャクソンを、しかもライブDVDを…」
どうやら行きつけの飲み屋の息子がDVDを大量に持っており、その中からジャケット借りしてきたらしい。
父は昔から、自分で選んだものは無条件で好きになるところがある。
つまり、齢六十九にしてジャネット・ジャクソンのファンになってしまう可能性がある。
最悪の場合、
「わしが死んだら、葬儀にジャネットの曲を」
などという遺言を残すやもしれぬ。
どうすればいいのだろう。
「こっちの方がいいよ」
と、兄マイケルのDVDを勧めればよいのだろうか。