台本を離し、俯瞰しつつ着地点を思う

夕方、中目黒で稽古。
台本を離して稽古をした。

今回の公演は、芝居とコントの中間やや芝居寄りといったあたりにカテゴライズされると思う。
コントにしてはテキストがしっかり決まっており、芝居にしては改変の自由度が高い。
改変の自由度が高いことは有り難い。
が、変えすぎると罠にはまる。
役に近づくつもりが、役を自分に近づける結果となることがある。

『おとな達の話』は、前振りAがある。
Aの前振りを引き継いだシーンの後、種明かしBがある。
前振りAは種明かしBにとっては必要でないため、小ネタ風に処理されるが、直後に葛藤Cがある。
Cはラストまで引っ張る要素となる。
苦労する部分は、前振りAと葛藤Cの収め方だ。
Aについてはなんとなく腹案ができつつあるが、Cはまだ納得いく答えが見つからない。
頭で考えるより、役になっている自分の脳が瞬発的にひらめくものを、動きながら捕まえた方がいいだろう。
そう言う意味でも、台本を離した方がいい。

『コンテスト』は構造上複雑なところがなく、自分の演じるキャラクターが望んでいることが最初から最後までぶれないので、やりにくさは感じない。
が、逆に言えば予定調和を飛び越える爽快さを表現するのが難しい。
台詞のない行間にこそ、テキストを飛び越えてイリュージョンの世界を感じさせる沃野が広がっていると思えるのだが、まだ試行錯誤の段階だ。

11時帰宅。
『夢の木坂分岐点』半分読み終える。
作家になりそこないの主人公が、妻と娘がいる家の窓を見上げる部分の描写を注意深く読んだ。
<泣き>が少し入っている部分なのだが、今回の読み返しでは、無駄のない削がれた文章に感心した。
巧い。