舞妓Haaaan!!!が公開されて

『舞妓Haaaan!!!』が公開され、大ヒットしているらしい。

この映画の設定は、無理がある。
ストーリー展開もご都合主義で、おそらくシナリオを読んだだけでは首をかしげる設定ではないかと思う。
が、だからこそ、クドカンと阿部サダヲがコンビを組む必然性があったのだと思う。

たとえば、柴咲コウが阿部サダヲに振られるシーンなど。
奈良出身なのに京都出身だと嘘をついていた柴咲コウを、ボロぞうきんのようにあっさりと捨てる阿部サダヲ。
ひどい男なのに、なぜか見ていて、
(いいぞいいぞ)
と思えてしまう。

このあたりはドラマ『僕の魔法使い』でもあった展開だ。
阿部サダヲの彼女がなぜか、本物の井川遥という設定だった。
そして阿部サダヲは井川遥に、なぜかひどく邪険にあたるのだ。

こういうシーンは、旬を迎えたある種の役者しか表現出来ないのだと思う。
つかこうへい事務所時代の風間杜夫とか。第三舞台時代の筧利夫とか。

実力ではなく、フェロモンの問題だ。
あの映画を見て阿部サダヲのことが嫌いになる女子を探すのは難しかろう。

そんな阿部サダヲのフェロモン効果が発揮されるようなシナリオ、という風に考えれば、物語だとか、舞台設定だとか、人間関係だとか、そういったものはどうでもいいのである。
重要なのは、どんな展開にすれば阿部サダヲのフェロモンがより放出されるか、なのである。

他の出演者の話も少し。
植木等が登場したシーンは、一瞬客席がどよめいた。
植木さんは<無責任男>が隠居したような佇まいで道をふらふら歩いてきて、舞妓に挨拶をして去っていく。
ただそれだけなのに、圧倒的なオーラがあった。
後ろ姿に後光が差していた。
(ああ、神様になっちゃった)
と思った。

北村一輝の医者役も強烈だった。
わずかな出演シーンなのに、己の役割を知り尽くし、場面をさらっていた。
北村一輝も、フェロモン放出量がもの凄いなあと思った。