心の帝国

『大英帝国という経験』読了。

大英帝国という概念は、国民が帝国経験を積むことにより、観念的なイメージとして生まれたというふうに読めた。
帝国が存在していたのは英国領に住んだ人々の心の中だったということになるのか。
そういえば、大規模な反乱や革命を経ず、大英帝国は第二次大戦後に終焉を迎えた。
いつ、どのようにして、イギリスは帝国でなくなったのか?
実は誰も知らない。
もしも<大英帝国>が、国民の心の中に存在する概念としての帝国であるならば、納得がいく。
人々がそう思わなくなった時点で、大英帝国は瓦解したのだ。

夜、実家へ。
本棚を整理していたら、夢枕獏の『キマイラ』シリーズが出てきた。
1巻から8巻まであった。
さすがに売っても金にはなるまい。

獏さんはいい人だけど、改行が多すぎる。
木々がざわめくだけで、

ざわ
ざわ
ざわ

と3行もかせぐ。
同人誌『Null』におけるデビュー作『カエルの死』は、文章でカエルの飛ぶ軌跡を描くというものだった。
だからこの人の場合、単なる字数稼ぎで改行をしているのではないと思う。

でも、やはり多い。