『白雪姫』ショック

皆川博子『聖餐城』読み始める。

舞台は17世紀の神聖ローマ帝国。
三十年戦争時のドイツだ。

三十年戦争はドイツの国土を徹底的に荒廃させたという。
カトリックとプロテスタントの争いが根っこにあるのだが、国内だけではおさまらず諸外国の介入を招いたため、歴史上まれに見る悲惨な戦争となってしまった。
傭兵達によって農村は徹底的に略奪され破壊され、農民はことごとく殺され犯された。
戦争によって失われた命は、全人口の三分の一だったという。

現在の日本にあてはめて考えるとすごい。
近代兵器を使わずに4000万人が殺されるわけだ。

夜、キャベツと豚肉の炒め物、豆腐の味噌汁を食べる。

テレビで歌舞伎の『第34回俳優祭』を観た。
演目の『白雪姫』が実に楽しい。
歌舞伎俳優総出演という豪華さ。
白雪姫を玉三郎が演じた。
王子様は松本幸四郎。
ハンカチで汗をぬぐい、喝采を浴びていた。
継母役の市川団十郎は、鏡の精役の市川海老蔵と鏡のシークエンスを楽しく演じていた。

圧巻だったのは、千手観音を演じた尾上菊五郎。
「北千住観音」
となのり、背後に何十人も黒子を従えていた。
しかも、胸元が強調されたドレスなど着て、しれっとして千手の舞を見せ、
「次は?南千住?」
などとすっとぼけ、物語上なんの意味もなく引っ込む。
人間国宝にそんなことをやられたら、抱腹絶倒である。
参りましたと全面降伏である。