『RING』本番

昨夜はシャワーを浴びずに寝てしまったので、今朝浴びる。
体調が悪いわけではなく、なんとはなしに体がだるかったが、幾分すっきりした。

『カラマーゾフの兄弟』5巻読了。
エピローグ以降にはドストエフスキーの生涯と年譜、それに作品の解題が収録されている。

ドストエフスキーが賭博狂となり、破滅的な散財を何度もしでかしたのは、政府の監視人に対する<自己の無用性のアピール>があったという解釈が面白かった。
彼は若い頃に政治犯として死刑判決を受け、恩赦によってシベリア行きになり、以降周りには政府の監視が常につきまとっていた。
ジャンルはまったく関係ないが、<失われた週末>時代のジョン・レノンを思い出した。

昼、東京マラソンの実行委員会からメール。
抽選の結果、残念ながら落選とのこと。
倍率が4倍らしかったから、仕方ないといえば仕方ないが、気落ちする。

夕方、池袋の芸術劇場小ホールへ。
鶴マミが客演している、FEVER DRAGON NEO公演『RING』を観る。

受付にて、るみさん、真理菜ちゃんと会う。
先月怪我をした石井さんも、案内を手伝っていた。
客席にて、HARANDAMANとナベちゃんに会う。

女子プロレス再生の物語だった。
KAORUさんと愛子さんのライバル関係が軸となっている。
かつて同じ団体で、強くなるためにトレーニングを積んだ仲間達が、今では散り散りになっている。
ライバルと決着をつけたいという思い、再びリングに上がりたい意志、格闘家からの挑戦、プロモーターの思惑などの要素が絡み、女子プロイベント「YAIBA」実現へとストーリーが展開していく。

KAORUさんと植松敏絵さんは本物の女子プロレスラーである。
女子プロレスラーが女子プロレスラーを演じる。
今回の公演の売りはまさにその点に尽きる。
KAORUさんは、身のこなしや佇まいに華があり、脚立からムーンサルトで飛ぶ姿が格好良かった。
女子プロレスラーとして舞台に立つ場面よりも、恋人役のノブ君とくつろぐシーンが、役作り的には興味深かった。
体を休めている豹かなにかのように見え、隣に座ってコミカルな芝居をしているノブ君の道化さが際だっていた。

植松さんは、芝居に出るのは初めてとは思えないほど声がよく通っていた。
あれだけしっかりとした発声をされると、他の役者はアドバンテージを失う。
演技も自然だった。

愛子さんは足を怪我をしたレスラーを演じていた。
ライバルと戦うと、選手生命を縮めるかもしれないという葛藤がある。
そのため全編通して、憂愁の影を引きずっていた。

女子プロレスラー役を演じる役者さんの中では、井上貴代さんが印象的だった。
技を上手く見せるといったことではなく、女子プロレスラーの気構えみたいなものが感じられた。

中盤、強くなるためにトレーニングをする仲間達のシーンがあった。
失われた過去の回想。
かつて抱いた夢とはどういうものであったのかを、再確認する場面となっている。
ここが、この物語で最も重要なシーンではないかと思った。
なにより、登場している女優さん達が楽しそうにしているのが印象的だった。

鶴マミは女医の役を演じていた。
愛子さんの足を案じつつ、その決意に触れ、医者の義務と板挟みになるという設定。
思っていよりも出番があった。
渦中に身を投ずるのではなく、見守る側の役であるため、真っ正直に演じていては周囲に埋もれてしまう役でもある。
どこかに<ずるさ>がないと、平凡な印象で終わってしまう。
ほんの一瞬だけ、お客さんに印象づけられる工夫があると、他の役者の邪魔をせずに自分をアピールできるはずだ。
そのあたりを、
(どうすればいいかなあ)
と思いながら観た。

終演後、ロビーで皆さんに挨拶する。
そのまま残り、飲みの席にお邪魔する。

鶴マミに、思いついた一工夫を伝える。
「今回は本当に出られて良かったです。また出たいなあ」
と鶴マミは言った。
彼女にとって、知り合いがほとんどいないカンパニーでの客演は初めてだったのではないだろうか。

ゲキダンエンゲキブのにしださんと話す。
来年夏の公演に誘われているのだが、日程が7月になるのか8月になるのか気がかりであると伝える。
「なにしろ、夏に海行けないと、不良になってしまうんで自分」
「考慮します」

ノブ君、こばちゃん、ハジメちゃん、守屋さん、るみさん、受付をしていた美春ちゃんと話す。
飲み時間が2時間弱しかなかったので、じっくりと話すことはできなかった。

締めになり、下駄箱の靴を出そうとすると、お客さんとして来ていたLindaさんと遭遇。
「お一人さま2万円ですわよ?」
と、酔った公爵夫人のような口調で言われ、どぎまぎする。

エレベーターで、愛子さんと話す。
トレーニングシーンに罰ゲーム制度を入れたらどうですかと言ってみる。
他にも色々案はあるだろうが、笑い寄りにするのか、いいシーン寄りにするのかで、対処は異なるだろう。

こばちゃんと阿佐ヶ谷まで一緒に帰る。
意見を聞かれたので、白いスーツを着崩した方が守屋さんと対照的になるのではと言ってみる。
もしくは守屋さんの着方をだらしなくするなど。

1時帰宅。
シャワーを浴び、飲みの席であまり食えなかったので軽くつまみを食べながら、ビールを少し飲んだ。
2時半就寝。