カメルーン戦

稽古最終週を迎えた。
初通しを15日に設定したので、そのための抜き稽古をする。

抜くシーンは、流れを滞らせる可能性があるところ。
障害物を取り除き、迷わず進められるようにしていく。

ラストは別物として稽古する。
集中と試行錯誤の繰り返し。
自分はあまり前から見ず、実際に舞台に立つことでトシさん永野さんの空気を感じるようにしている。
役者の肌が粟立つ様子とか、微妙な視線の交わし方や息遣いを間近で感じる。
たぶん、遠くから見ていてはダメなような気がする。

稽古後の帰り道、トシさん、永野さんとラストについて意見交換する。

あまりにも辛い記憶を無意識に抑圧し、精神が朽ち果てるのを防ぐことは、あると思う。
問題は、精神が辛さを受け入れる準備が整ってからだろう。
先伸ばしにしていた辛さを受け入れるために必要なものはなんなのか?
もしそのまま先伸ばしにしたらどうなるのか?
やはり、受け入れるべき時がきたら受け入れなければならないと思う。
<死に物狂い>ではい上がるしかない。

10時過ぎ帰宅。
風呂に入り、制作作業の続きをしながら、ワールドカップを見る。
日本対カメルーン戦。

負けるんだろうなあとぼんやり思いながら見ていたら、1点先制したのには驚いた。
そして、後半に差し掛かっても守りが固く、2006年に感じたような、
(やばいやばい、きっと負ける負ける)
という不安さがなかった。

試合はそのまま1対0。
日本は初戦を勝利した。
インタビューで答える岡田監督や選手の態度はそっけなく、終わったらすぐに次のオランダ戦対策にでも向かいそうな勢いだった。
笑顔一つ見せないそのそっけなさが、とても格好よかった。