無事千秋楽を迎えた一日の最後に

9時半起き。
昨日と同じくカレーライスで朝食。

12時前に劇場入り。
大山に通うのは今日で4日目。
それだけなのに、町になじみ始めている。
商店街があるせいだろう。
商店街があると心が落ち着く。
浮き立つのではなく、落ち着く。
きっと商店街が、人の営みの、目に見える形の連なりだからだろう。

9歳の時、祖母が心臓の疾患で入院した。
初めは西新宿の病院、次に板橋区役所近くの病院、その次に三鷹の病院に移り、息を引き取った。
板橋区役所近くの病院に入院している時、見舞いに来た帰りに通ったのが、大山の商店街だったと思う。
だから初めて来た町ではないのだ。

昨日と同じく台本を最初から最後までぶつぶつ読み、衣装に着替える。
昨日の本番前、お腹が空いて腹が鳴ったので、今日は本番30分前にゼリー飲料を摂取する。

お客さんは一番沢山入った回だったが、昨日や一昨日のようにくすくす笑いは聞こえなかった。
もともと、声の出る笑いを求めてやる戯曲ではないし、芝居に集中していると、その辺のことは気にならなくなる。
お客さんの顔が見えないので、どういう風に見られているのかはわからなかったが、初日から何回かこなしていたので、探るように芝居をする必要はなく、稽古でやった時のように、あるがまま、心のおもむくままに台詞を喋った。

来年お世話になるトツゲキ倶楽部の横森さんと永野さん来る。
終演後に挨拶する。

浅香来る。
彼の家は東武東上線沿線なので、とても来やすかったという。

「ドカさんの出る芝居は、商店街を通り抜けたところにある劇場が多いね。阿佐ヶ谷とか、駒込とか」

そう言われる。

菊本さんは、夜8時に名古屋で打ち合わせがあるとのことで、終演後に帰られた。
一人芝居の台本を見させて欲しいと言われていたので、今度メールをしますと伝え、挨拶をして別れる。

バラシは照明が中心で、楽屋を片付けると、他にバラシを手伝えることはなくなってしまった。
5時過ぎに、木原君が予約した打ち上げの店へ、先にさかしたさん達と移動する。

全員揃ってからしゃぶしゃぶを食べるということで、軽いつまみを頼み、ビールを飲んで話す。
飲む人が自分と、お手伝いの女性一人だけだったので、一人で勝手に飲んでいるような形となってしまった。
酔っていたわけではないが、教育実習の時の話などをなぜか披露したりする。

6時過ぎに橋本さん、山本さん、木原君来る。
しゃぶしゃぶで打ち上げ。

橋本さん、過去にやった作品の話をさかしたさんとしていた。
直接見たことのない芝居だが、随分昔から一緒にやっているのだなということがわかって面白かった。

9時前に店を閉め、解散。
さかしたさんと木原君が劇場に戻るというので、なぜかひょこひょこついていき、三人で雑談をする。

鍵を返却し、劇場を出る。
9時半だった。
さかしたさん、来週引っ越しだという。
引っ越し先は京都。

「再来年あたりに、またこれ、京都でやりましょう」

と言われる。
知り合いがまったくいないが、小旅行気分で芝居をするのも楽しいかもしれない。

池袋でさかしたさんと別れ、高田馬場まで木原君とお連れの女性と一緒。

10時過ぎ帰宅。

家に帰り、財布の中身を調べたところ、どういうわけかお金が少なかった。
朝、2万円以上あったはずなのに、1万円少ない。
今日は劇場に入ってから130円で缶コーヒーを買っただけだ。
それ以外お金は使っていない。
財布は革ジャンの内ポケットに入れてずっと楽屋に吊していた。
財布を出したり入れたりは芝居が終わるまでしていない。

いったい、どこへいったのか。
あまり、いい気分じゃない。