雨漏りを捨てるペースで

漏洩に関わらぬ範囲で、仕事について書く。

Accessのデータベースを作り、それを管理している。
もとは別の管理者がいたが、運用開始直前の土壇場でなぜか自分が作ることになった。
フォームの体裁やテーブルはその人の設計で、VBAやクエリがらみは自分が手を入れた。
運用が軌道に乗ってから、仕組みを作り直した。
去年、それとは別にもう一つのデータベース作成を頼まれた。
期間が一ヶ月という条件だったが、完成品を作るのではなく、作りながら日々修正アップデートできるのがAccessの気軽さと強みであると担当者に話し、かなり早めに運用開始した。
というわけで、現在二つのデータベースを管理している。
最近、古い方のデータベースに、新機能をつけてくれと頼まれた。
去年の秋頃から言われていたが、担当者の忙しさや、その他政治的あれこれで、やるのかやらないのかわからないまま待機状態が続いていた。
結局やることになり、先週から取りかかっているが、非常に面倒な作業が続いて、頭を悩ましている。
簡単にいえば、エクセルからデータを取り込み、データベースと連携させ、検索やCSV出力を可能にするのだ。
それ自体は別段難しくはない。
だが、取り込み対象のデータは、もともとデータベースから出力したもので、それを表の形に組み直したものだ。
つまり、データベースから出力して、見た目を表形式にしたものを、またデータベースに入れるわけである。
人間の見やすい形というのは、コンピュータにとっては扱いづらい。
セルが結合されていたり、シートによって項目が不揃いだったりする。
人間向けの理由は、数式化できないのだ。
それでも何とか、悪戦苦闘してインポートの仕組みを作った。
そして出力のシステムを作り始めた。
ここで問題が生じた。
そのデータは月ごとにインポートするのだが、先月と全く同じ数値が沢山ある。
基本数値みたいなものだ。
ひと月で1万5千件くらいある。
毎月律儀にデータベースに取り込んでいったら、1年もすればデータが肥大し、大変なことになる。
さてどうするか。
基本数値は一度入れるだけにして、翌月も同じ数値だったら入れないことにしよう。
そして、レコードごとに、インポート初回月を登録しよう。
翌月に値が変わっていたら、別のテーブルに格納して、その月だけは例外であるという処理をしよう。
翌月にその案件のレコードがなかったら、前月で終了したと見なし、0を入れよう。
色々考えて、その仕組みを延々作っていた。
そして思った。
なぜこんなに複雑なことをしなきゃいけないのだろう?
そして、自分がここで面倒なことをしたり、考えたりしていることを、誰か知っているんだろうか?
自分が倒れてしまったら、続きは誰がやるのだろう?
新しく作った方のデータベースのメンテナンスや改修や、古い方の細かい改修も、ひっきりなしに依頼が来る。
案に煮詰まり、外の空気を吸いながらあれこれ考えをめぐらすが、事情を知らない人からさぼっているんじゃないかと思われてやしないか気になる。
かといって机に座り、延々と動作チェックを繰り返していると、時々頭が変になってくる。

と、まあ、そんな感じの数週間をこのところ過ごしていて、それに加えて芝居の稽古や本番やマラソンのトレーニングが重なり、心身がギブアップしてしまったのが昨日というわけだ。

明けて今日、なんとか具合もマシになった。
そして思った。
不満は、時々吐きだした方がいい。

というわけで、仕事についてダラダラ書いた。
すっきりしたわけではないが、読み返してみると、別に対したことではないように思えてくる。
やらないわけにはいかないのだ。
少なくとも、吐きだしたことで、誰にも言えない状態というのはある程度脱したわけだ。
解決は自分でなんとかするしかない。
不満は、雨漏りに似ていると思う。
屋根に上って穴の空いた箇所を修繕するのが一番いい。
だが、ハシゴや道具がない時だってある。
たまたま訪れた部屋がそうだった場合、出来るのは受け皿を用意することくらいだ。

受け皿に水が溜まるには、いささかの猶予がある。
溜まったら、流しに捨てに行けばいい。
音がする度に立ち上がり、数ミリリットルのそれを捨てに行く必要はない。
どの周期で捨てに行くか、機械的に決めて、あとは目の前の仕事に集中しようと思う。

夕方まで仕事。
夜は稽古。
照明の大村さんが来ていた。
台本後半部分の修正版を渡される。
冒頭からラストまで強引に通し稽古。
決まっていないところや、代役を立てなければいけないところが多く、混乱した通しとなった。
通しが終わると稽古終了時間となっていたので、自分の稽古はできなかった。

稽古後、池袋へ移動して、飲み。
つじつまの合わないところが少しずつ修正されているが、つじつま合わせが主目的になりそうな気配がある。。
作品の背景や、登場人物がなぜそこにいてそうしているのかなど、そのあたりの解説が少ない。
演出のみきちゃんは、論理的説明を苦手としているとのことだったが、役者達は説明の言葉に飢えているように思える。
役者の指示待ち状態が続くと、やばいことになる。
じゃあ役者達が自分でどんどん作っていけばいいのだが、最初のきっかけとなる言葉がまた足りない。

焼酎のビール割りというとんでもないものを1杯だけ飲んで帰る。

たぶん、役者同士でどんどん作っていくべきなのだろう。
そのために必要な言葉が足りなければ、それを埋めるという方向で、自分が何かできるかもしれない。
というより、何かやらなければいけない。