JPNツアーガイシホール見届ける

朝10時起き。
雪が積もっていた。
列車の運行情報を調べる。
新幹線は東京と熱海間で速度制限をしていた。

Perfumeが徳間からユニバーサルへレーベル移籍することをYahoo!で知る。
itunesのダウンロード配信も世界50カ国で始まるらしい。
今夜のガイシホールで発表すればサプライズの仕掛けとなったはずだが、そういうことをしないところがいい。

1時前に家を出る。
雪はくるぶしが埋まるほど積もっていた。
2時前に東京駅へ。
ぷらっとこだまは乗車券ではなく、旅行クーポン券という扱いだった。
片道1枚につきドリンクチケットが1枚つく。
ライブハウスのチケットみたいだ。
ライブに行くのだから丁度良い。
駅員のいる改札を通り、KIOSKでヱビスビールに引き替えた。

14時26分にこだま乗車。
二人がけシートの窓際に座る。
乗客はまばらで、隣の席は名古屋まで誰も座らなかった。

ノートPCを開き、昨日の通し稽古で考えたことをまとめる。
長い文になった。
メールにして知恵に送信する。
「長いですね」
と返事がきたのは、さらに長い続きメールを二通に分けて送る直前だった。
その後はもう返事が来なかった。

三島を過ぎると空に晴れ間が見えてきた。
東の方を見ると、御殿場や箱根あたりの山並みに厚い雲がかかっていた。
そこから東は雪で、西は晴れということだろう。

17時過ぎに名古屋着。
東海道線に乗り換え笠寺に向かう。
電車の中は、ガイシホールに向かう人々で混雑していた。
女性二人が、m
「これみんなPerfumeのコンサート(の客)じゃない?」
と話していた。

18時前に笠寺着。
改札を出て左にいくとそのまま陸橋となっていた。
線路を渡ると目の前右手奥にガイシホールが見える。
そのまま進むとスタンド席入り口前の広場に出た。
グッズ売り場が設けられていた。
中に入る前に小腹を満たそうと思い、階段を下りて1階の広場に出た。
道路際に、たこ焼き、クレープ、ポテトフライなどの屋台が出ていた。
そういうものを食べたい気分ではなかった。
ホール周辺に飲食店はなさそうだったので、駅の反対側へ探しにいくことにした。

道路を駅方面に戻ると、陸橋が線路を渡りきるあたりの階段に着いた。
駅から真っ直ぐ渡って左に曲がればその階段を降りることになり、右に曲がればガイシホールの2階に出るのだ。
階段を上って駅に戻り、反対側の階段を下りてみた。
駅前に小さいロータリーがあり、左手にコンビニがあった。
少し進むと線路と平行して大きな道があったが、道沿いに飲食店はなかった。

コンビニにイートインスペースがあったので、おにぎりとハンバーガーを買って食べた。
食べ終わって時計を見ると、6時を過ぎたところだった。

駅に戻り、もう一度陸橋を渡って、ガイシホールに戻る。
グッズ売り場近くの階段を下に降り、アリーナ入り口への列に並ぶ。

席は、アリーナやや下手の真ん中くらいの列だった。
自分の席の右側は十数人すべて女性。
Perfumeのライブに来たのは今回が5回目だが、女性客の比率は今回が最も高いのではないかと思った。
スタンドも含めた全体を見渡せば男性客も沢山おり、男女比半々というわけにはいかないだろうが、男性6に対し女性4くらいにはなっていたと思う。

7時を過ぎるとどこからともなく手拍子がわき起こり、全体に広がっていった。
今日は何分押しになるだろうと考えながら手拍子をしていると、思ったより早く客席の照明が暗くなった。
「The Opening」のイントロが流れる。
コールと拍手が鳴り響く。
今夜のライブを楽しむためのエネルギーが会場全体に充填される。
弓をゆっくり引き絞るかのような、ための時間だ。

その力が一曲目の「レーザービーム」で一気に解き放たれた。
正面からやってくる低音の衝撃波がたまらない。
見上げると何本ものレーザー光線が会場を貫いている。
そこに集まった人々を罠に捕らえたかのように見える。

続けざまに「VOICE」「エレクトロ・ワールド」「ワンルーム・ディスコ」
飛ばしまくりという表現がぴったりくる曲が続く。
「エレクトロ・ワールド」のイントロに歓声をあげるのは男性が多く、「ワンルーム・ディスコ」には女性が多かった。

MCは、名古屋は第二の故郷であるというトークで始まり、恒例の客いじりへ移行していった。
特に面白いことを喋っているわけではないのに、声を出して笑ってしまう箇所がいくつもあった。
三人が気の向くまま喋り、楽しさを与えあっているその空気が、ステージから客席に伝わる。
その波動が心地良いのだろう。

MCが終わり、アルバム『JPN』収録曲のパフォーマンスが続いた。
『IPNツアー』なので、アルバム収録曲を中心としたセットリストが組まれている。
さすがに「ポリリズム」「チョコレイト・ディスコ」が外れることはないが、「コンピューターシティ」も「マカロニ」も「Night Flight」も、今回のツアーでは選曲からもれている。
やらない曲だけで別のセットリストが余裕で組めてしまうだろう。
Perfumeの本当の恐ろしさは、そういうところじゃないかと思う。
どの曲にもその曲のファンがいて、イントロが流れれば必ず会場がどよめくのだ。

会場のノリに煽られたのか、三人の歌や踊りは、時間が経つごとにはじけてきた。
計算された振り付けを、躍動する肉体が超えていくような、全能感に似たものがあった。
ステージの上で三人はとても幸せそうにしていた。

アンコール前の「MY COLOR」は、SSAの時と同じく、曲に入る前の演出が素晴らしかった。
歌が流れるとドキッとし、すぐに途方もない幸福感がこみ上げてくる。
この感じを味わうためだけでも価値がある。

嵐のようなアンコールの後、三人が出てきた。
スクリーンに映る表情は、充実感に満ちあふれていた。

今回のライブは、どこかいつもと違っていた。
楽しさが限界を押し広げてていき、以前いたところよりも高い場所に三人を連れて行ったようなステージだった。
見ている方にも、アーチストが目の前で殻を破る瞬間に立ち会えた興奮と喜びがあった。
2時間半が本当にあっという間の出来事のように感じられた。
最後の曲「心のスポーツ」の歌声が、とても力強かった。
どういう風に歌えばいいなどと考えず、気持ちの赴くままに声を出している感じが素晴らしかった。

客席のライトがつき、惚けたような気分になるが、気を取り直して急いで出口に向かい、駅への通路を使わず下の道路を駅に向かって走った。
コンビニに行く時に使ったのと同じ階段を上がると、ホールから出てきた客はまだそれほど歩いていなかった。
下の道を走ったおかげで、ホール出口の大混雑を迂回し、一番最初に出た客の集団に紛れることが出来たようだ。

臨時停車の新快速で名古屋に戻る。
電車はライブ帰りの客ですし詰め状態だった。

名古屋駅に10時過ぎに着いた。
あんかけスパゲティでも食べようと思って店の前まで行くが、ラストオーダーが終わっていた。
仕方ないのでホテルに向かって歩く。
途中でラーメン屋を見つけたので入り、餃子とラーメンを頼む。
まずかった。

11時前にホテルに着く。
足の裏が痛かった。
部屋に入って靴下を脱ぎ、しばらく休んでから大浴場に行き温泉に入る。

部屋に戻ってビールを飲み、PCを開いて今夜のライブについての書き込みなどをチェックし、余韻に浸る。
ついでに、明日の午後3時過ぎまでに余った時間をどう使うか、名古屋のグルメ情報や観光情報などを見て、簡単に計画を立てる。

2時過ぎに電気を消す。
すごくいい気分で電気を消せたなあと思っていたら、次の瞬間うとうとしていた。