雨のように

残業なしの日。
昨日、出力機能を作ってしまったので、今日はデータのインポート機能を作るため、管理簿を見直す。
予想した通り、書式がまちまちになっていた。

夕方、定時に退社。
西新宿へ。

中央公園西側の、方南通りをはさむブロックは、昔ながらの住宅地が残っている。
祖母が住んでいたのは、青梅街道の方だったので、再開発対象地域となってしまい、今ではすっかり様変わりしている。

非常に変わったお店を見つけた。
探すのに苦労した。
中に入ると、不思議な空間があった。

一杯やりながら、緩やかに時間をすごす。
芝居が終わり、初めて心の底からほっとした。

外は雨が降っていた。
強くなったり、弱くなったりしていた。
自分の気分にも似ている。
舞い上がったり落ち込んだり。

雨は結局やまなかった。
外を歩くと、通気加工をしてある靴底が、雨水を吸い込んだ。
ソックスが濡れるのを感じた。

中野坂上でコーヒーを飲む。
外は相変わらず、雨が強くなったり弱くなったりしている。
自分の気分も同じように、舞い上がったり落ち込んだりしている。
月が浮かぶ夜なら良かったのに。

外に出ると、雨は弱まっていた。

丸の内線で荻窪に向かいながら、台本を書こうと、思い続けていた。
ちゃんと、丁寧に、書いていこう。
やれることを、一つずつ積み重ねて、自分にも他人にも、正直になろう。

でも、自分に正直になることが、他人を追い詰めることもある。
どうすればいいのか、時々わからなくなる。
知識や経験が解決してくれることじゃないのだろう。

なにか、祈りに似たような気持ちを、自分のためじゃなく持てるか。
それにかかっているのかもしれない。

荻窪に着くと、雨はほとんどやんでいた。
帰り道、神社の入り口で一礼する。
「今日は、自分、こんなんでした。どうもありがとうございました」
と、心の中でつぶやいた。