『こころ』を本棚から取り出す

靴下と手袋をして寝たので、起きた時、身体が温泉にでも入ったかのように暖まっていた。
洗面所で顔を洗う時も、寒さをまったく感じなかった。
体調も良くなっていた。
やはり体は、冷やすと良くないのだ。

午前中、新人君に仕事を教える。
正直なところ、Accessに堪能とは言い難い子ではあったが、ひたすら手を動かすように次々と問題を与えるうちに、どんどんスキルを身につけてきているようだ。
選択クエリを教える。

昼、カップラーメン食べる。
外はすごい雨で、出かける気になれなかった。

午後、集計クエリを教える。
これが自在に出来るようになると、簡単な依頼ならこなせるようになるはずだ。
今日で四日目だから、進歩の状況は順調だと思う。

夕方、もうひとつ別の仕事を教える。
これで、日々のメンテナンス業務は、大体任せられるようになった。
その分自分は、新しいデータベースに集中できる。

新人君が帰ってから、自分の仕事に取りかかる。
Excelに出力するツール。
ある条件においてのみ、シートを二つに分けなければならないのだが、例外処理の書き方ががさつになってしまった。
それでも、動作すればいいやと思って実行してみたら、一回でうまくいった。
嬉しかった。
誰かに成果を報告したくて、オペレーターの同僚に声をかけるが、大変忙しそうだったので、達成感を一人で静かに消化しながら退社した。

7時半帰宅。
野菜鍋を作って食べる。

冷蔵庫に賞味期限の切れた佃煮があったので、汁の素に使う。
魚柄仁之助さんが本で書いていた方法。
佃煮は煮物の出汁に使えるというやつ。
色は黒くなったが、ほどよくうま味が出ていた。

整理の続きを少しやる。
捨てるものを捨て尽くすと、空っぽの引き出しが増えた。
7段チェストが二つあるのだから、当たり前だ。

『暮れなずめ街』の創作ノートに、登場人物表を書き、人物関係のおさらいをする。
二つの作品を一つにするのだが、シーン毎ではなく人物毎に混ぜていき、物語の構成もきちんとしなければ、散漫な群像劇になってしまう。
再演ではなく、新しい作品をつくるのだと自分に言い聞かせる。

『海辺のカフカ』再読了。
村上春樹の本は、秋になると必ず読み返したくなる。
『ねじまき鳥クロニクル』は、トータル十数回も読み返しているので、逆にしばらく読みたくない。
それでも、『海辺のカフカ』を読むのは、たぶんこれで7回目くらいだ。
佐伯さんとのお別れのシーンが、今回はぐっときた。

本棚をざっと長め、夏目漱石『こころ』の文庫本を取り出す。
高校二年生の夏に買ったものだ。
この本から、読書の習慣を始めたのだ。
久しぶりにページをめくると、拍子抜けするくらい読みやすい。
たぶん、明日からこれを読むことになるだろう。
鞄に入れた。