あらすじが書けない男

今年最後の週を迎えた。
今年最初の日を迎えた時のことを少しだけ思い出す。
「人と沢山知り合って交流を広げたいなあ」
と、穏やかな気持ちで思っていた。
思った通りにはなかなか行かず、試練の一年となった。

午前中、眠気を感じつつ仕事。
全部をなんとかしようとしても、到底不可能なくらい、自体は混乱を極めている。
こうなったら、手をつけられるところに一点集中し、マルチタスクではなくシングルタスクで、一つずつつぶしていった方がいい。
ある程度つぶして、余剰時間を作れたら、全体の変更に着手すればいい。

午後、忙しさの原因となっている箇所を改善するツールを作る。
あっという間に4時になる。
旧K君に今週の物まねを課し、会議に出席。
同僚のYさん、O君が一緒。
O君、2メートル20センチの巨漢なのに、背中を丸めて190センチと言い張っている。

会議は、会議ではなく、その場で業務フローを作成していくというものだった。
2時間以上の長丁場だったが、今まで知らなかったことがいくつかわかったのが収穫か。

デスクに戻る。
臨席のM君が、
「来年、僕、旧Kさんと一緒に移転業務をやるんですけど、全然知らないんですよ」
「え? 旧K君なんか、M君よりもっと知らないと思うよ」
「Mさんに今のうちから聞いておこうと思ってるんです」
「そのMさんは?」
「休みです」

パソコンをシャットダウンして休憩室を覗くと、O君がいたので、雑談する。
「Mくん、引き継がないといけないと言ってたよ」
「ああ、例の件ですか。僕も言ったんですけどね」
「たぶん、自分が抱え込んだ案件の不始末を、人に知られたくないんじゃないかな」
「うーん」
「保身がキーワードになっちゃ、まずいやね」
「ですね」
O君は体を思い切り伸ばして休憩室を出て行った。
一瞬、2メートル30センチになった。

実家へ。
すき焼きだった。
それはいいのだが、
「クリスマスケーキ買っといたから」
と、小さめとはいえホールのケーキを食卓に出されたのには閉口した。
すき焼き食べて、ケーキを食べてなんて、今の自分にはできない。

それでも6分の1ほど食べ、部屋に戻る。

『マレー蘭印紀行』読了。

風呂に入り、居間に誰もいなくなってから、『暮れなずめ街』のプロット書き作業をする。
うまく書けなくてイライラするが、とにかく1時間、書くことに費やす。

ブログやmixi日記では自由に書けるのに、あらすじという形式にとらわれると、途端に筆が進まなくなる。
卒業論文の時と同じだ。

最後の方になってやっと自分らしさが出てきた。
自分のために書くあらすじなのだから、形にとらわれなくてもいいのだ。
自分を笑わせるつもりで書こう。