永ちゃん武道館初体験

起きると頭がぐるぐる回った。
6時には到底起きられず。
遅れて仕事へ。

各種依頼とトラブル対応が一気に来て、昼休み前にどっと疲れる。
隣席のSTさんに、
「顔色悪いですよ」
と言われる。
真っ黒だそうだ。

昼、メンテナンスを終えてから、外へ。
代々木図書館まで。
仕事場近くの図書館が使えると便利なので、カードを作ろうと思った。
ところが、耐震工事のため休館していた。
来年3月までかかるらしい。

西参道方面へ歩き、ラーメン「道楽」でラーメンを食べる。
この店に入ったのはたぶん15年ぶりだ。
バイク便時代によく利用した。

当時と味が同じかどうか、久しぶりなのでわからなかった。

午後、地道な修正作業。
何をやっているのか、途中でわからなくなってくる。

5時半、定時退社。
都営新宿で九段下へ。

「とんがらし」へ行き、夕方からのメニューである天丼を食べる。
去年11月以来。
確か、ポール・マッカートニーのライブに行く前に寄ったのだ。

今日もライブ前に寄った。
ドームではなく武道館。
矢沢永吉。
武道館のチケットが、今年やっと入手出来たのだ。

7時開演だった。
「とんがらし」でもりあわせ天丼を食べ、腹ごなしにゆっくり歩き、6時40分過ぎに武道館へ。
グッズ販売のテントを眺め、E.YAZAWAタオルを買おうかどうか迷う。
買っても、ライブの時に放るなら良いが、家に帰ってたとえば入浴後に体を拭くとか、そういう日常的なことに使いたくない。
物持ちは良い方だが、どんなに好きなアーチストでも物販に興味を持てない。

結局買わずに席へ。
2階席北西F列。
ステージ正面下手ほぼ斜め後ろから見るという、良席とは言いがたいポジションだったが、そんなことはどうでもいい。
一度は見ておかねばならない永ちゃんを、武道館で見るという経験は、何物にも変えがたい。

あちこちの席で「永ちゃん」コールが起きていた。
どういうルールかわからないが、我こそはと思う者がコールをすると、周囲の客が拍手で唱和するというルーティーンだった。
上下白スーツの客はそれほど多くなかった。
もちろん特攻服もいなかった。
思った以上に女性客も多く、客層はむしろアイドルのコンサートよりも幅広いと思う。

7時ちょっと過ぎに開演。
知らない曲が続いたが、のっけからパワーで押してくる。
スクリーンの永ちゃんは、疲れているように見えた。

ところが数曲の喉ならしを経てから、別人のように顔色がよくなり、声も伸びてきた。

バラードになるとみんな一斉に座る。

「あ・い・つ」
「Sweet Rock’n Roll」

染みた。
特に「Sweet Rock’n Roll」が良かった。
文句なしにいい曲を、弾き語り。
目をつむって聞き惚れた。
どうしてこういう曲が書けるのだろうと、時々思う。
永ちゃんの中に、無垢でキラキラ光るものが無防備に転がっていて、それが曲の形になってぽんと現れるかのようだ。
沢山の音楽を聴いてきた人ではないのに、持って生まれた感性がそういう曲を書かせるのだろうか。
そういえば横山剣さんも、永ちゃんのそうした面をもっと評価すべきと言っていた。

中盤から後半、ずっと楽しかった。
バンドも、重量級のいいバンド。
大人のいいバンドというのはこういうんだよと、永ちゃんに教わっているような気がした。

アンコールで「止まらないHa-Ha」「トラベリン・バス」
タオルが舞った。

2時間と少しでライブは終了。

バカみたいな感想を書くとすれば、このひと言に尽きる。
永ちゃんは、歌がうまい。

特に、バラードが良かった。
声が、本当に素晴らしくて、切なさをかき立てられる。
目をつむって聞くと、なおいい。
ライブだからいいんだろうなあという声。

永ちゃんライブはアルコール禁止なのだが、バラードを聴く時だけは、ビールをちびちびやって、聞き惚れたいなあと思った。
DVDでやればいいのか。
ラストで永ちゃんは言っていた。
「みなさん、帰りに美味しいビールを飲んでください!

充実感を胸に武道館を出る。
永ちゃんコールを絶叫するのではなく、精妙で巧緻極まるボーカルをバラードで存分に楽しめたことが嬉しかった。
テレビで一曲二曲聞くのではなく、コンサートで何曲もやって喉がほぐれたところで歌うバラードの良さ。
ライブに行かないと聞けない声の良さ。
十分に味わい、余韻に浸りながら帰宅。10時半。