久々熱海

朝、何時に起きたか覚えていない。とにかく午前中だった。
玄米粥と納豆で朝飯を食べた。

昼過ぎ、郵便局へ行った。
銀行のカードが届いたが、直接引き取りに行かねばならなかった。
窓口で免許証を見せる。
が、住所欄にはマンション名の後に部屋番号が入っていなかった。
15分ほど待たされた挙げ句、その免許証ではダメだといわれた。
保険証も手元にあったが、これにはそもそも住所が書いていない。
住民性もダメだという。一体どうすればいいのか。
「これ、システム的に、オレのところに配達出来ないんじゃないの? 免許もパスポートも持ってない人だったらどうするのさ?」
「送り主に、別の手段で送ってもらうよう依頼していただけますか?」
「命に関わるものじゃないからいいですけど、命に関わるものだったら、命に関わるんじゃないの?」
「え?」
「いえいえ、負け惜しみです。何でもないです」

仕方ない。
そのカードを急いでいたわけじゃない。
ついでにいえば欲しかったわけじゃない。向こうが勝手に、だ。

帰宅し、玄米粥とサラダ、さばの水煮で昼食。

疲れているわけじゃないのに、やる気が出なかった。
落ち込んでるわけじゃないのに、元気がなかった。
年がら年中、こち亀の両さんみたいに元気でいられる奴ぁいない。

横山光輝「三国志」最終巻まで読み終える。
劉備が死んでからは孔明が主人公。
負け戦は孔明以外の誰かがへまをしたせいになっている。
祝融夫人や兀突骨の描写は、改めて読むと面白かった。

夜、鳥の胸肉を焼く。
落合シェフの焼き方。
胸肉は安い。
この方法だと簡単に作り置きができる。
プロの料理人はすごいなあと思いつつ焼く。

ウィスキーの空き瓶に、去年作った梅酒を移す。
去年はふた瓶作った。
片方はホワイトリカー、もう片方はウィスキーで仕込んだ。
ホワイトリカー梅酒は、すでに別の瓶に移してある。
ウィスキー梅酒は、ほぼ全量残っており、移し替えるのに瓶が足りない。
不味いから飲んでいなかったわけじゃない。
試飲したところ、芳醇で実に美味だった。
だが梅酒ってのは、毎日飲むもんじゃない。
花火を見ながらとか、夏の折々に、季節を感じながらちびちびいくもんだ。
そして梅酒造りの季節がそろそろだ。
去年の分がたっぷり残っている現在、どうしたものか迷っている。
今年は同じ瓶を使って、らっきょうでも仕込んでみるか?

つかこうへい「熱海殺人事件」を久しぶりにビデオで観る。
92年のバージョン。ザ・ロンゲストスプリング。
大山金太郎と山口アイコの場面は、普遍性と保つべく初演時から様々な書き換えがされたが、92年のバージョン以降は、変える必要がなかったのではないかと思う。
金太郎がアイコを殺す、その殺意のあり方について、つかさんは社会に対してするように分析的になっていた。
でも、1960年代、70年代、80年代、90年代、ゼロ年代と、ああいうものはずっとあって、ずっとああだった。
世の中が豊かになったとか、そういうことでなくなるものじゃない。
形は変わっても、常にあった。

そして、92年のバージョンは、金太郎とアイコの場面がもっとも磨き抜かれていたと思う。
今観ても、切なさに胸が締め付けられる。

選曲も素晴らしい。
オープニングの「白鳥の湖」は定番として、金太郎登場直前に絶叫ナレーションと共に流れる「南から来た用心棒」がたまらない。
それから、折々に流れる「ジェルソミーナ」のテーマ。
金太郎がアイコ殺害を告白した直後の「パピヨンのテーマ」も、見事にはまる。
これだけ選曲が決まれば、曲数はいらないだろうなと思う。