花見トーク

朝、うどんを食べる。
天気予報通り、外は晴れていて暖かそうだった。

挽肉を解凍し、ハンバーグを作った。
コンビニで3枚入りの食パンを買ってきて、挟んで食べた。
ハンバーガーに適したパンは、なぜどこにも売っていないのだろう。

夕方5時、新宿中央公園へ。
芝生に場所を取る。
6時まで寝っ転がって花見をするが、朝と違って空が曇っており、花びらの色が飛んでよく見えなかった。

6時過ぎ、金ちゃんとナベさん来る。
薄暗くなっていた。
金ちゃんは、ワインとベーコン焼き豚チーズなど。
ナベさんは、焼酎と缶のつまみを持って来た。
オレは、ビールと、近所の肉屋で買った焼き鳥。

少しして、千陽さんが来た。
甲府で仕事だったらしく、ワインを持って来てくれた。

ナベさんとマグ不足を一緒にやりたかったのだが、結婚式のため参加ができないとのことだった。
金ちゃんは大丈夫だったはずなのに、ナベさんの話をしたら、無言でスマホを見せて来た。
結婚式の案内だった。

「なにこれ?」
「日付が、同じなんです」
「え? 金ちゃんもマグ不足、無理になったってこと?」

男の参加者がオレだけになってしまった。
それにしても、二人とも同じ日に結婚式だなんて、お幸せにとしか言いようがない。

次回のマグ不足は6月22日から25日までを予定している。
2月から3月まで、仕事の引き継ぎのために一切動けなかった。
頭が完全に仕事モードになっていて、何のアイディアも思いつかなかった。

そういう時に無理矢理考えようとしても仕方ないので、そちらを司る脳みそには休んでもらっていたのだが、最近アイディアが浮かんできている。

アイドル好きな女性が集まって、コアなトークをするという内容がそのひとつだった。
ただ、どう膨らませるかはまったく考えていなかった。

「アイドル好きな女性が集まって、コアなトークをする場面、考えてるんすよ」オレは言った。「たとえばジャニーズなら、特定の誰かじゃなくて、SMAP以前の光GENJI以前の」
「忍者とか?」とナベさん。
「そう。あと、男闘呼組、少年隊、シブがき隊、たのきんの頃から、全体を見守るように応援してきた人ばかりいるんです。そんな中、最年長の人は物心ついた頃フォーリーブスを応援したのが事始めで、みんなから一目置かれていて、その場にいるみんな独身なんですよ」
皆はふんふんと聞いている。オレは続けた。
「男のアイドルって、集団だと思うんですよ。ジャニーズって基本、集団でしょ。トシちゃんやマッチだって、ソロだけどたのきんトリオの一人っていうくくりだったから人気があったんだと思うし」
「それ、女でも同じじゃないですか」金ちゃんが言った。「AKBもおニャン子も」
「まあそうだけど、男アイドルは特に、そうじやないかなって感じるわけですよオレは。たのきん以前の郷ひろみ西城秀樹野口五郎も、新御三家ってくくりだし」
「なるほどね」とナベさん。
「千陽さんは、どんなアイドルが好きだったの?」
「私はチェッカーズが好きでしたね」
「ジャニーズでは?」
「今はそうでもないけど、嵐とか。相葉くんが好きで」
嵐が好きになったのは、しんどい時期だったのだと千陽さんは続けた。
「そういう時に、嵐を見て癒やされましたね」
「オレは、アイドル好きになったこと、ないな」ナベさんは言う。「SMAPとか、解散とか、させてやればいいじゃんとかね」
「そのとおりですよ」オレは言った。「SMAPをビートルズ年齢で考えたらそうですよ。解散どころか、ジョン・レノンなんか亡くなってますよ」

千陽さんの持って来たワインは美味しかった。

風がやや強かった。
桜は咲いているのだけど、中央公園はライトアップを一切していないため、日が沈むと満開の様子がわからないのだ。
「明るいうちはきれいだったんですよ」
「いつからいたんですか?」と金ちゃん。
「5時くらいから」
「よく、飲まずに待ってたなあ」とナベさん。

「不足の方が、エッジがとんがってるから好きって言う人もいるんですよ。まあ、エッジは、とんがってるんですけど」
ナベさんのお客さんだそうだ。
「確かに、オレの友達にも、同じ意見の人いますけど」

「仕事の面接に行った時、釘刺されましたよ。遊びじゃないんだ、みたいな。でも私、はじめから覚悟してたんで。その頃は芝居からも気持ちが離れてて、仕事ちゃんとしようって思ってたんです。そしたら運良く受かって」
千陽さんはその仕事を今も続けていて、今年が6年目になるそうだ。
北海道も沖縄も、仕事関係で行っている。
そして今日は甲府帰りだ。
「で、帰ったら、嵐見ると?」と金ちゃん。
「そう、嵐」

持ち寄ったつまみをあらかた食べ、酒もいい感じに回った。
9時過ぎに、お開きにする。

花見をしたのは久しぶりで楽しかった。
たとえ、花がよく見えなかったにしても。

夏に、小さめの花火大会やお祭り目的に、ビニールシートを持って集まるのは楽しいかもしれない。
去年の夏、お祭りの居酒屋使いを試したが、飲み物持参にして、つまみを屋台で買えば、なかなかリーズナブルなはずだ。