各駅で8時間弱の旅

6時に起きようと思っていたのだが、4時になっても眠れなかった。
起きて、冷凍してあった玄米粥を暖め、納豆と一緒に時間をかけて食べた。

6時に家を出る。
新宿から埼京線で赤羽。
そこから宇都宮線で栗橋へ。

東武日光線に乗り換え下今市。

東武鬼怒川線に乗り換え、鬼怒川公園に着いたのは10時前だった。

鬼怒川温泉のホテル街が廃墟のようになっていると知り、写真を撮ってみようと思ってやってきた。
なぜ廃墟を撮ろうと思ったのかはわからないが、思った、という衝動の方が重要なのだ。

鬼怒川に来たのは初めてだ。
観光シーズンでもない平日だから、人の姿はまばらだった。
日差しは暖かかったが、風は冷たかった。

鬼怒川公園駅から、鬼怒川温泉駅まで、鬼怒川沿いに歩くことにした。
橋を渡る。
桜がまだ花をつけていた。
先週辺りが見頃だったろう。

途中で、廃館となったホテルを発見。


中は、想像していたよりもずっときれいだった。
鬼怒川温泉郷のホテル街が廃墟になっていると話題になったのは5年ほど前からだ。
観光地としては、そのような噂が広まるのは好ましくない。
市が定期的に清掃をしているのかもしれない、と思った。

だが、市にははた迷惑なことだろうが、オレが見たかったのは、廃墟となったホテル群だった。
大友克洋『AKIRA』の、洪水後のネオ東京とまではいかなくても、そこだけ時間が完全に静止したような、文明の残骸が見たかったのだ。

歩いていると、廃墟となったホテルは確かに存在した。
だが、朽ち果てているという印象からはほど遠かった。

アテがはずれたなと思いながら歩いた。
鬼怒川公園から鬼怒川温泉駅までは3キロと少ししかないので、写真を撮りながらゆっくり歩いても2時間とかからない。
それでもファスティング明けの体には結構きつかった。

駅に着いたのは11時過ぎだった。
昔、「モヤさま」で紹介されたとかいうラーメン屋でお昼を食べようと思ったが、月曜日が定休日だった。

仕方ないので、イートインつきの土産物屋でおにぎりとアイスを食べ、駅前の足湯に浸かった。

12時54分の電車が来るまで、駅の待合室で本を読む。
『ローマ人の物語』19巻読了。
カリグラとネロに挟まれた、クラウディウス帝の時代。
お人好しの真面目皇帝だが、カリグラのもたらした混乱は見事に収拾した。

東武日光行きの電車に乗り下今市へ。
新栃木行きに乗り換え、新栃木からは南栗橋行きに乗り換える。
そこから地下鉄接続の中央林間行きに乗り、北千住に付いた時には4時を過ぎていた。

『ローマ人の物語』20巻読了。
悪名高いネロ帝の時代。
承認欲求が満たされない若者が、結果的に空気の読めない行動をして、それが普通の人ならば笑われるだけで済んだのに、最高権力者であったがゆえに政治が乱れてしまった、という印象を受けた。

千代田線で綾瀬に行き、ラーメンショップ綾瀬店に行ってみた。
20分でジャンボラーメンを完食すれば無料で有名な店だ。
もちろん、ファスティング明けなので、ネギラーメンを味薄めにして、ニンニクを入れずにゆっくり食べた。
並にすると、小金井のラーメンショップ椿よりも、量は全然少なかった。

千代田線から丸の内線経由で、6時過ぎに帰宅。

電車に乗っている時間だけで8時間近くかかった。
鬼怒川は、特急を使わないで日帰りで行くのは厳しいところだ。