マイナス4度の一日

昨夜寝る前に「白い巨塔」2話を見た。曾我廼家明蝶と金子信雄が、娘婿のために金をばら撒くぞと、料亭で気炎を上げる場面が大変印象に残った。二人とも脂ぎっている。ラーメンにたとえるならば、二郎系としか言いようがない。豚ダブル、アブラ増し増し、にんにく増し増し。

田宮二郎の講義シーンで患者に牛乳を飲ませる場面は、子供の時に見た覚えがある。カテーテルを通して患者に栄養補給するシステムの説明なのだが、今回見てやっと意味がわかった。カテーテルなど、子供にはわかりようもない。
医療機器の描写がとても丁寧だ。メーカーの協力があったからだろう。細部にこだわった映像は、映画よりもテレビ向きかもしれない。
テーマ曲は、「機動戦士ガンダム」のBGMと似ている。陰鬱な感じのする旋律がそっくりだ。調べてみると同じ作曲家だった。渡辺岳夫。

ドラマの黄金時代は、1983年、大映テレビによって「スチュワーデス物語」が製作されたあたりで終ったと思う。ドラマは大ヒットしたが、同時に笑いの対象にされるようになった。ああいう深刻さは、80年代の軽さにそぐわなかった。
それでも80年代は、70年代の名作ドラマをよく再放送していた。「探偵物語」は夜中の2時過ぎによくやっていた。その時間に再放送されるのはマイナーなドラマという意識があった。
松田優作が本当の意味でブレイクしたのは、1997年、夕方の時間帯に「探偵物語」が再放送されて以降だと思う。視聴者の数は深夜とは比べ物にならない。あれで一気に伝説が大衆化したのだと思う。

ル・グインが亡くなった。ついこの前、「闇の左手」「所有せざる人々」を読み返したばかりだ。「ゲド戦記」もそうだが、勧善懲悪ではなく、何が正しいことなのかを読者に判断させる作品が多い。
ひとは本を読む時、答えを知ろうとして読むのか、問いを知ろうとして読むのか。前者の読者は、ル・グインは読みにくいと思うかもしれない。ハインラインは面白いと思うかもしれない。後者の読者はその逆だろうか。どちらもバランスよく読めるようになりたい。

23区で低温注意報が発令された。最適気温マイナス4度。こんな日にバイクに乗ったらどうなるんだろう。高速を走ったらどうなるんだろう。
昔、バイク便でマイナス1度の日に仕事をした時は、下はインナーパンツ、ジーンズ、オーバーパンツ。上は、インナー、内ジャンパー、外ジャンパー。首はネックウォーマー。手はゴアテックスのグローブだった。耳が寒かったので、ジェットヘルをかぶったまま待機していた。そのくらい装備しなければ、寒くて仕事にならなかった。
その頃一番怖かったのは、首都高の堀切ジャンクションで都心方面に向って荒川を渡ることだった。曲りきれなくて何十メートルも下を流れる荒川に落っこちたらどうしようと思った。まして氷点下の日なんかに落っこちたらどうしよう。そんな死に方だけはごめんだと思っていた。
寒さとは関係なく、関越の長いトンネルも嫌だった。車の左側をすり抜けていくのだが、黄色い照明がちらちらして、催眠術にかかったように頭がボーっとするのだ。眠らないようにヘルメットの中でいつも大声を出していた。覚醒するには裏声が効果的だった。

朝飯にカレーを食べる。8時20分から仕事。ちょっと早すぎた。

午前中は資料作りと、登録時の動作修正。

昼、江戸橋方面へ。「そばよし」という立ち食いそばで掻き揚げそばと小ライスを食べる。立ちそばとはいえ、タモリおすすめのそば屋で、出汁が素晴らしい。ライスと一緒に鰹節粉がついてくる。それをライスにかけ、醤油をたらし、おかかご飯にして食べた。旨かった。
これで、神田日本橋界隈の有名な立ちそばは大体制覇した。京橋銀座築地方面に足を伸ばせばもっとあるのだろうが、当面はこれで満足。
出汁は「そばよし」が強烈だったが、そばそのものなら昨日食べた「つぼみ屋」が印象的だ。歯ごたえが素晴らしかった。

昼になっても外は寒かった。

午後、修正完了。

昨日、パックパックの肩バンドがちぎれた。母にそれを言うと、靴屋で直してくれるとのことだった。
ネットで調べると、神田西口商店街に靴の修理店「リアット!」があった。仕事帰りに行ってみた。30分で出来るとのことだった。
鞄を預け、「わいず」へ行き、夕食に台湾混ぜそばを食べる。にんにくとニラの匂いがすごいが、仕事明けだから大丈夫だろうと思った。
リアット!に戻り、パックパックを受け取る。もう片方の肩バンドも、縫い取り箇所の仕事が甘いので、切れるかも知れないといわれた。
Modernist Look というメーカーは、FACEBOOKやInstragramなどで動画の宣伝を盛んにやっている。サイトは英文だが、どこの国のメーカーなのか、調べてもわからなかった。

図書館で予約した本を借り、サミットで買い物を死、8時帰宅。家の前はまだ雪がたくさん残っている。部屋の温度は6度だった。ファンヒーターをつけてもなかなか暖かくならなかった。

ローストビーフを焼く。小さめの肉だったので、120度にした。1時間焼く。玉ねぎ半分、醤油100cc、みりん50cc、レモン汁25cc、にんにく、しょうがでつけダレを作り、ジップロックに漬け込んだ。

「白い巨塔」3話見る。山本學演じる里見助教授は、浅野和之さんが演じるのを見てみたいと思った。
筒井康隆『文学部唯野教授』のことを思い出した。唯野は教授たちの機嫌を損ねないため、小説を書いていることを隠している。彼も「白い巨塔」の財前のように、教授になるために奔走しているのだ。あれも、ドラマになれば面白いはずなのだが。今の時代では企画が通らないだろう。

『海辺のカフカ』読む。村上春樹の小説の中で、もっとも完璧に近い作品だと思う。完璧であることは、傑作であることを意味しないので、これが代表作とは思わないが。
『ねじまき鳥』は、前半ほど現実的で、後半になると非現実的になる。世界はメタファーであると表現するのを、少しずつ試しているようにも思える。ところが『海辺のカフカ』は、世界はメタファーであることを前提に書かれている。この違いは大きい。
だから、村上春樹を読んだことのない人は、まず『海辺のカフカ』を読んでみるといいと思う。ジョニー・ウォーカーやカーネル・サンダーズが、そのものではなく、たまたまその姿をしている、ということを受け入れられれば、あとは本の中に入っていけばいいだけだ。