突っ込みする精神に突っ込み
2006年3月24日 金曜日
先月、実家にてクッキー焼きに失敗したのは、ホットケーキミックスを使ったからだった。
先週日曜、小麦粉を使って作り直したら、普通のものが焼けた。
自分はコーヒー飲みなので、こうした甘いものが必要なのだ。
一昨年『ファミリーアフェア』の稽古をしていた時、出演していた綾香嬢がチーズケーキを作ってきたことがあった。
出演してる女の子がお菓子を持ってくる稽古場というのは微笑ましい限りだ。
お菓子も女の子も大好きな私にとっては、一粒で二度おいしいといえる。
しかし、次回公演の稽古でそんな私がクッキーなんぞを持って行ったら、さぞや気持ち悪かろう。
その時は場の心理的バランスをとるために、稽古を極力厳しくしなければならない。
稽古で役者を怒鳴りまくり、休憩に入る。
しばらくして言う。
「クッキー焼いて来たんだけどよ、食わねえか?」
役者達が集まってくる。
「いただきます」
全員が一斉にもそもそ食べる。
「おいしいです」
「甘くなかった?」
「いえ、大丈夫です」
このやりとりに<突っ込み>を入れることで、場面はとてもつまらなくなる。
「えー…?」
とか
「…っておい!」
とか
「(間髪入れず)クッキーかい!」
とか色々あるんだろうけど。
この場合、突っ込みを入れることで、周りにいる人をほっとさせる効果がある。
しかし、ほっとすることで喚起される<笑いレベル>は、ドッキリの「大・成・功!」と同じ程度だと思う。
突っ込みを入れないと、その場にいる者全員、否が応でも<クッキー世界>に引き込まれることになる。
怒鳴る怖い演出家が休憩時間に自分で焼いてきたクッキーを配る世界。
その世界を維持するのは、実は結構難しい。
突っ込みを入れることで、その世界はたちまち崩壊してしまう。
たとえば『裸の王様』のラスト。
町の子供は、
「なんで王様は裸なの?」
と容赦なく突っ込みを入れた。
王様はお城に逃げ帰り、物語は終わった。
続編『裸の王女様』出版の可能性も絶たれてしまった。
2000年代を生きる我々は、ハルマゲドンという突っ込みを神様から勘弁してもらっている存在である。
そろそろ、突っ込みを減らした方がいい。
