契約解除
2007年11月13日 火曜日
『クロイツェルソナタ』読了。
紳士の結婚は肉体への欲望からであり、失敗を必然として孕んでいた。
夫婦はお互いの弱点を攻撃しあい、夫婦でなければ味わうことのできない憎悪をお互いに抱いていた。
それにもかかわらず、彼は妻の男へ嫉妬する。
この嫉妬が、彼の苦しみの源泉だった。
彼は不貞を犯した妻を撃ち殺してしまうのだが、裁判では無罪とされる。
だが子供は妻の姉に引き取られ、彼は自分のことを「妻を殺した男」といい、汽車の中で「真実の愛は」云々を話す婦人に我慢できなくなり、思わず一人の男に長い打ち明け話をしてしまった・・・というのが小説の時間構成だ。
性に対する罪悪感の描き方が極端だった。
その極端さは<ロシア的>なもののように思える。
性に対する放縦さを代表するのはフランス人であるようにちらりと書かれている。
ロシア人がフランス人に対して抱くコンプレックスの構造が、なんとなくわかるような気がする。
フランス的な社交、恋愛、考え方がヨーロッパの<お手本>であり、ロシア人はそのお手本に魅惑されあるいは憎悪し、ロシア的な考え方の立ち位置を相対的に探るというわけだ。
黒澤明の映画『どん底』は、舞台を江戸時代の長屋に置き換えている。
ゴーリキーの原作を翻案した黒澤明の力量はさておき、ある種のロシア的な感覚は、江戸時代の民衆のそれとかなり似通っているんじゃないだろうか。
強引に定義すれば、<ロシア的>とはスペクタクル化された古典落語の世界のことではないか。
自ら破滅の方向に向かう人間に、共通点が多い。
『罪と罰』のマルメラードフ氏など、古典落語にそのまま出てきてもおかしくない。
ロシア文学をネタに新作落語を書けば、非情に面白いんじゃないか。
たぶんすごくはまると思う。
夕方、大変なことになった。
買い物をしてうちに帰り、ネットに接続しようとしたのだがつながらない。
一度電源を抜いて、ADSLモデムをリセットしても同じ。
受話器をあげても音ひとつせず。
ひょっとしてと思い、PHSで自分の家の電話番号にかけてみると、
「この電話は現在使われておりません」
というアナウンスが流れた。
契約解除されてしまったらしい。
考えてみたら、自宅で電話を使うということが、ここ5年ばかりほとんどなかった。
誰かにかける時はPHSで、相手からかかってくる場合もPHSにかかってきた。
ADSLのユーザーと話す時はIP電話なので料金はかからず。
そんな調子だからNTTには基本料金しか払ったことがなく、通話料は毎月ゼロ円。
電話を止められても気づかず、NTTからハガキで請求が来てから、
(お、そうかそうか)
とまとめて払いに行くという生活をしていたのだ。
今回の場合、請求のはがきがどこかに紛れていたのと、8月分を払い忘れていたことが災いした。
困るのは電話ではなくネットのことだ。
電話回線をベースにしたADSL契約なので、回線がなくなればつながらないのは道理である。
いったん解約し、回線不要のプランに乗り換えるか。
それともNTTと再度契約し、今のプランが継続できるように頼んでみるか。
PHSをパソコンにつなぎ、遅いデータ通信で必要な情報を調べる。
どうやら、いったん契約を解除されると、再度同じ電話番号で契約するのはほぼ不可能らしい。
とりあえず明日、電話をしてみる。
しかし、PHSによる通信は、遅い。
32kbpsだから、日頃使っているスピードのおよそ400分の1だ。
ブロードバンド時代になり、サイトも昔に比べて重くなっているのだ。
PHSもそろそろ変えないと。
ちょっと電話しただけで電池が切れそうになり、電池が切れそうなのを見てオレが切れそうになる。
