匿名の悪意は潜在意識直通

 昨日の夜から胃が重い。
 ストレスじゃなくて純粋に肉体的なものだ。
 食べたものが胃袋の中で渋滞している感じがした。
 食べ過ぎたわけでもないのに食べ過ぎた時と同じ症状があった。
 不快というより不愉快。
 それならいっそ食べ過ぎたい。

 コーラを飲んだら治った。
 胃が刺激され、運動を再開したのだろう。

 暑い。なんと今週はほぼ毎日夏日だ。
 25度を超えれば夏日というが、今日などは半袖で歩く人の方が多かった。特に女性。
 俺も半袖で歩けばよかった。なぜそうしなかったのだろう。

 夕方、新宿で山崎と会う。
 公演の反省やこれからのことなど色々話す。
 山ちゃんと一対一でマグネシウムリボンのことを話すのは実は初めてかもしれない。
 彼女が正式に劇団員になったのは昨年の5月からで、「第二ゾーンへ」は劇団員として初めて経験した公演だったのだ。

 「最近わたし暗いから、もっと楽しくなりたいなあと思います」
 「落ち着いたんじゃないの?前だって明るさの中にどこか影があったりしたよ」
 「二重人格だから」
 「そうなんだ」
 「次回は、楽しくなりそうな気がします」
 「いいね。今回はなんていうか、呪われ過ぎて、呪われ慣れしちゃってたもんね」

 2時間ほど話す。
 9時半帰宅。

 人質3人の住所がネットで暴露され、匿名の手紙が殺到しているというニュースを知る。
 どんな内容なのかは推して知るべしだ。
 あほらしいのは、高遠さんの家族が自衛隊撤退を強く訴えた記者会見が遠因になっていることだ。
 これは、芸能人がバッシングされる図式と同じではないか。

 人質三人は危険に対する危機管理が足りなかった。
 これは正論だ。
 本多勝一の「職業としてのジャーナリスト」を読めば、認識の甘さは死につながるのだとわかる。

 高遠さんの家族は、家族の命が危険にさらされているために当たり前の反応をしただけだが、それが全国に放送されていることに対して無防備というか、空気が読めていなかった。
 読めないのが当たり前な状況ではあるが、事件当初に固唾を飲んで行く末を気にかけていた人の多くが、あの会見でそっぽを向いてしまったと思う。
 そしてバッシングは始まり、高遠さんのお母さんが涙ながらに謝罪するという異常事態になった。

 日本人として生きている以上、自分の中にも匿名の悪意という毒素が眠っていることをまず認めないといけない。
 俺たちは、人として相当、崩れているのだ。
 心の奥底には、発せられることのなかった悪意に満ちた言葉が沈殿し、ガスを発しつづけているのだ。
 そしてどんな世の中だろうが、うまくやっていかないといかん。
 背を向けるのもまた、悪意の変形だ。
 台詞にするとこうなる。
 「みんな死んじゃえ!」
 ジェノサイド。

 世間の悪意に人質3人は相当にへこんでいると思うが、それをごくごく当たり前のことだと思って気にせず生きて欲しい。
 それにもかかわらず人間とつき合い、うまくやっていかねばならんのだ。
 だから、ボランティアとしての志や、人間としての器の大きさは、むしろこれから問われるのだと思う。
 相当きついだろうが、この経験でめげずに10年も20年も続けて欲しい。
 どうせ今回程度のバッシングは、半年もすれば十分の一程度に薄まる。
 タトゥーはどうなった?

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