軽いハプニング

 11時まで寝ていた。
 今月なかなか味わえなかった贅沢である。
 人はやはり眠らなければダメだ。
 が、酒を飲まずに眠ればもう少し早く起きられる。
 平日禁酒をひと月半続けてわかったことだ。

 劇的効果はなかったが、やはり平日禁酒をしていなかったら、体力的に早々音を上げていたと思う。
 黒酢を飲んだり、お灸をしたり、健康オタクみたいなことをしているのも、やはり長い稽古を無事切り抜けるためのものだ。
 芝居をしていないのに健康のことなんか考えたって仕方ない。
 だから、芝居のない時の俺はただの飲んだくれだ。
 3年くらい芝居をしない生活が続いたらおそらく、アル中かなにかで死んでしまうだろう。

 昼1時、渋谷へ<押し入れ展>を見に行く。
 2年前の7月にやっていたグループ展の第二弾。
 モチメや浅香、横岳さんや米倉さんの作品がある。

 受付にはモチメと山浦くんがいた。彼は学芸大の演鑑演劇部出身。
 客で綾香が来ていた。

 モチメの切り絵新作は今までの絵とは違った感じがした。
 登場人物が7人いて、左端の男が今までのモチメ作品にはあまり見られない感じのキャラだった。
 切り絵の前には主人公の人形が飾られている。
 入り口方向を向いていればもっと良かったが、展示スペースの関係でしかたないのだという。

 今回のコンセプトは「蟲」とのことで、浅香の写真にも赤とんぼが飛んでいるものがあった。
 しかし、虫そのものというよりは、虫の視点で撮った写真という気がした。
 展示会場のあちこちには、セミの抜け殻が飾られているのも可愛かった。
 セミの死体は気持ち悪いが、セミの抜け殻は可愛い。

 山内洋子さんが映像を展示しており、それをしばらく見る。
 エロい感じの女性が犯罪を犯した若い男の指を口に含んでべろべろ舐める。
 すると「あああああああーおおおおおおー、ああああああーおおおおおおー」とお経のような歌声がどこからか流れてくるのが面白かった。

 渋谷の南北線ホームは山手線ホームから300メートル近く離れていた。
 しかも2時台には1時間に3本しか電車が来ない。
 山手線に戻るには暑い中を300メートル歩かなければいけないし、仕方ないので10分以上電車がくるのを待った。

 3時過ぎに劇場入り。
 尾池さんと金高さんに、明日のソワレ後にやるアフタートークのことについて色々話を聞く。
 金高さんは「どうしてもやらなきゃダメですか?」
 と消え入りそうな声で聞いてきた。
 さすがに気の毒になってしまったので、今の段階で色々と質問をしておく。
 そして質問の答えを劇場の野坂さんに渡す。
 「音響さんは、ちょっとこういうの苦手みたいで、一応質問は沢山聞いておきました」
 「そうですか。どうしましょう」
 「様子を見ましょう」
 自分で言いつつも、様子を見るってどういうことだろうと思ってはいた。

 7時半開演。
 初日よりは安定感があった。
 が、山崎と俺のシーンでハプニングが起きた。
 お客さんがパンフレットを手から滑らせてしまい、それが山崎と俺の丁度ど真ん中の舞台上に飛んできてしまったのだ。
 台詞を喋りながら、どこかでそれを拾えないか模索するが、そのシーンの俺は目線を床に落とす芝居がないので、とりあえず無視することにした。
 舞台をはけてから、次の出番の片桐に耳打ちする。
 「お客さんのパンフレットが飛んで来ちゃったから、芝居中に拾っちゃってくれる?」
 「わかりました」
 その次に出てくる三代川にも指示を出す。
 「もし片桐が拾えなかったら、君のシーンで、チラシを俺に渡すフリをしてそのパンフを拾ってくれる?」
 「はい」
 片桐は芝居の途中で無事パンフレットを拾った。
 こういうハプニングは意外とワクワクするものだが、終わってみるともっとうまい処理の仕方があったなと残念に思ってしまう。
 しかしお客様はいたたまれないだろうなあ。

 終演後、前回出演した須藤さんと会う。
 「これどうぞ」
 マーブルチョコレートをもらった。
 照明家の山田さんも来ていた。
 「松本さんと打ち合わせがあるんです」
 尾池さんは山田さんに紹介をしていただいたのだが、山田さんとは正月以来ほとんど話す機会がないのが残念だ。

 終演後、飲みに行く。
 飲みの席でストレスからタバコを吸う。
 片桐が言う。
 「今のドカさんにタバコを吸わせているのは、明日のアフタートークらしいから」
 確かにその通りだ。慣れないストレスに胃が痛い。
 悪い想像ばかりするネガティブな自分が顔を出す。
 こればかりはやってみないとわからないから、ふたを開けるのが怖いのだ。
 ストレスと言うよりはプレッシャーだろう。

コメント

  1. HP no top ni kudan no otoko no iru kirie wo nosemashita.
    mojibake de ro-ma ji.
    gaikoku kara kakikomi siteiru kibun…

  2. ドカ山 より:

    なんでだろう。
    文字コードのせいかな。

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