ハラオヤジ

雪は積もらなかった。

永福町まで歩いた。20分以上かかった。

「オレが何か質問すると、びくってするんです」
「声低いからじゃないですか」
そうかなあ。無表情で何考えているかわからないからじゃないかなあ。

横光利一「機械」読む。これは読んだことがある短編だ。そうだ、昨年青空文庫で読んだのだ。

4月からの仕事について留守電が入っていた。神田だという。決まりではない。返答はせず。

夕方、疲れを自覚した。コピペの繰り返しは疲れる。

7時過ぎ帰宅。手羽焼きを二枚食べた。

ふと、スマホを手放せなくなっていることに気がつく。ずっと見ているとそういう状態になる。気をつけないと。

小松とメールのやり取りをするようになり、質問に答えたり、ネットの使い方についてアドバイスを送ったりするうちに、今の日本のネットはどうなっているのか気になった。それで、色々な記事を検索してみた

ニュースサイトについてはYahoo!の一人勝ちであるという記事を見つけた。そして、日本におけるニュース需要はソフトニュースが高い割合を占めることも知った。
どちらも薄々感づいてはいた。というより、関連し合っている事象ではないかと思う。
政治のニュースに人気がないのは、世界でも珍しいらしい。平和ボケが長く続きすぎ、人々の生活と乖離してしまった結果だろう。政治に興味を持つことで、何かがわかるようになるという期待感が失われてしまっている。そして、そんな政治でも、社会に暴動が起きていない。昨年の水害を乗り切ったことも、政治のおかげだと人々は感じていない。
が、やはり政治のおかげのはずだ。今の政治ではなく、過去の政治がもたらしたシステムの恩恵だ。では、今の政治は未来の日本に、どんな恩恵をもたらすのだろう?

#Me Too は、昔は大丈夫だったことが今ではダメになったのではなく、昔からダメだったのに言えなかった人が今は言えるようになった、という意見を読んだ。なるほどと思ったが、なぜ昔は言えなかったのかということも気になった。
言えなくさせていた力はなんなのか? それは性差に関わること以外にも関係のある、同調圧力ではないのか? 空気を読んだことで、何も言えなかったのではないか?

飲み会。調子こいた年長者A。まわりに腰巾着メンズ。その間に女の子。
Aが女の子のスリーサイズを勝手に当てっこ。腰巾着たち大いにウケる。女の子たちは内心(まただよ…)と思いつつもキャッキャッ。
でも本心からキャッキャッする子たちもいる。いた。

まったく同じことを腰巾着Bが言う。女の子たちドン引き。空気も冷え冷え。#ME TOOで告発されるのはBの方だ。

しかし発言内容をもとにガイドラインを作ると、Aも裁きの対象になる。その場合、Aはその場にいた女性陣にではなく、伝え聞いた無関係の人に与えた不快感により裁かれる。

「Bにスタイル良いねとか言われると気持ち悪くね?」
「この前、頭を撫でてきて、めっちゃ鳥肌立った」
女性陣、Bのセクハラについて、給湯室でヒソヒソ話。
B、立ち聞き。勢いよくドアオープン。
女性陣、ハッとして、目を合わせないように退場。
場面暗くなり、Bにスポットライトが当たる。
「 なぜだ? Aさんなんか、おっぱいでかいなー、なんて言って、触ってたじゃないか ! やつにできて、オレにできないのは、何故なんだ!」
暗闇から橇の音。赤い服の老人登場。
「ホーホー」
「誰だ!」
「セクハラ加害者になる男が自覚すべきは、自分の気持ち悪さへの自覚力じゃよ」
「気持ち悪い奴にならなければ、Aと同じことしていいのか?」
「そう考えるから気持ち悪いんじゃよ。ホーホー」
老人去る。

SPA! の記事は、その自覚が欠けていたと思う。そして、自分の気持ち悪さへの無自覚さが相手に与える不快感は、相手に、不快感の原因を考察させる。結果、発言内容や振る舞いなど、表面的なことがやり玉に挙げられる。
それらは、セクハラ行為ではあるが、本質ではない。結果的にそういう形で出てしまった気持ち悪さの結晶だ。

Aは、女性の体に興味津々なオランウータンだと思えば良い。しかし、Aの頭にセクハラの概念がインストールされ、これ大丈夫かな? ダメかな? という条件分岐がされるようになると、もう今までやっていたことはできない。もう、あなたはオランウータンではない。
Bが、Aの真似をするのは、オランウータンになろうとするようなものである。そりゃあ気持ち悪いだろう。服着なさいよ。

そして、自分の気持ち悪さを知ろうとする努力は、空気を読むという行為と混同されるので、社会には、どうしたらいいかわからなくなった人達が満ちあふれることになる。
セクハラ加害者になることに怯える中年は、セクハラという言葉に惑わされる前に、自分が気持ち悪いかどうかを考えた方がいい。そうすれば、セクシャル以外のハラスメントを自分がしていることに気づくかもしれん。ハラオヤジ。今年は広島打倒できるかねえ。